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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第4章 種


シャッターを押したのは2回だけ。

カメラを鞄の中へしまい終えると、再び眼下に広がる街を眺めた。

どちらかと言えば、美しい風景は写真ではなく瞳に焼き付けておきたいと思う方だ。

その時の匂いや音、日の暖かさや風の冷たさ。

私にとって写真はその記憶を思い出させるための物でしかない。

そもそも写真を撮る事に夢中になりすぎると、写真の構図でしかその景色を思い出せなくなってしまう。

本当に大切だと思う景色は、いつでも瞼の裏に写し出せるようでありたい。



そんな事を思いながら遠くの山々を眺めていると、ふと佐久間さんの顔を思い出した。

クシャクシャにして笑う顔。

瞳を閉じれば、いつでも甦らせれる。

もちろん、写真など撮ってはいない。

それでも、佐久間さんの顔は忘れてはいない。






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