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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第4章 種


本来の目的は別の場所だ。

そこまではロープウェイに乗る。

函館山の山頂、そこが今日の目的地だ。



地元の人などほとんど来ない。

そんな観光客しかいないような場所は、私にとってとても都合が良かった。



あまり知り合いには会いたくなかった。

子供の頃からこの性格のせいで友達は少ない方だ。

高校時代、いじめられていたという事はないが、苦手だと思う人はたくさんいた。

女子校という特殊な環境のせいもあるが、正直言ってグループを作りたがる騒がしい女は嫌いだった。



休み時間はいつも本を眺めていた。

“読んでいた”ではなく、ただ“眺めていた”。

休み時間の教室はとても騒がしく、読書など出来たものではなかった。

話し掛ける相手もいなければ、話し掛けてくる相手もいない。



しかし、卒業した途端に関わりなど全くなかったクラスメイトから「橘さん、久しぶり。元気?」などと声を掛けられるようになった。

次に続く言葉は「仕事は?」「彼氏は?」「結婚は?」「子供は?」

正直、自分の近況はあまり話したくはない。






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