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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第4章 種


約束の時間まではまだあった。

コーヒーカップを洗い、身支度を整える。

今日は運良く雲ひとつない青空だ。

こんな日は、カメラを持って出掛けたくなった。

東京で暮らすようになってからは、すっかりと出不精になってしまったが、私はもともと自然が好きだ。



とくに親しい友達がいたわけではない私の高校時代は、学校とコンビニでのアルバイト、そして風景の写真を撮りに出掛ける事くらいなものだった。

一度だけ、汽車に揺られて羊蹄山を撮りに出掛けた事もあったのだから、あの頃はそれなりに夢中だったのかもしれない。



厚手のコートを羽織り、家を出る。

北海道の中でも比較的暖かいこの街でも、東京と比べれば極寒の地だ。

今年は雪が多いのだろうか。

路肩にはすでに雪の山が出来ていた。



市電に揺られ、元町方面へと向かう。

車窓からの景色は、私がここで暮らしていた数年前とはずいぶん変わってしまった。

いくつも店がなくなり、更地になってしまった場所もある。

こうして年に一度故郷へ戻っては、記憶の中の風景を上書きしていくのだ。






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