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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第4章 種


あの日作った目玉焼きは失敗だった。

フライパンの中で黒焦げになっていく卵にも気付かずに、必死で答えを導き出そうとしていたのだと思う。

結局答えは出ず、シャワーを浴び終えた佐久間さんとパリパリになった目玉焼きを食べた。

作り直すと言ったが、佐久間さんは「美味しいよ」と、いつものように笑ってくれた。



あれから1ヶ月…。

あの日から、私達は一度も会っていない。



25歳の誕生日はあっさりと過ぎ、気が付けば12月31日。

今年も最後の1日となってしまった。

北海道の冬は底冷えのする寒さで、朝からストーブの前で熱いコーヒーを飲む。

母は今日も仕事だ。

夕方には戻ると言っていたが、相変わらずよく働く人だと思う。

だからこそ、私はこの歳まで何不自由なく育ててもらえた。



午後からは近所に住む祖父母の家へ行き、料理を作る約束をしていた。

4人で過ごす大晦日。

私にとってはそれが“普通”であり“当たり前”の家族の姿だ。

しかし、世の中では私のような境遇は少数派なのだと思う。



私には、父親がいない。






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