第3章 友情か
「先生にさ、お願いがあるんだけど…。」
「何ですか?」
「目玉焼きが食べたいな。」
「いいですよ。作っておきますね。」
「ありがとう。」
嬉しそうに笑いながら、佐久間さんは脱衣室のドアを閉めた。
こうして一晩を共に過ごし、遅めの朝食のメニューの話をする。
まるで恋人同士であるかのようだ。
しかし、私達の関係は恋人などではない。
会うのは3回目。
食事をするだけの関係。
冷蔵庫から卵を取り出す。
佐久間さんのリクエスト通り、目玉焼きを作る。
トーストを焼き、コーヒーを落とした。
心はどこか浮き立っていた。
料理をしながらも、佐久間さんの顔が頭から離れず、胸は苦しくなる。
バスルームからはわずかにシャワーの音が聞こえていた。
こんな事は初めてだ。
2019年11月30日
私は自分の心に芽生え初めた感情が一体何なのか分からず、ひたすら自問自答を続けた。