第8章 美しい人
…………
呆気なく終わった現世デートの後、
三日月さんとはなんだかぎくしゃくしていた。
それというのも、
三日月さんに避けられてる気がするのだ。
私が気づかないだけで、
三日月さんに何かしてしまったのかもしれない。
嫌われたのかな…?
そんなことを考えて廊下を歩いていたら、
不意に目頭が熱くなって涙がこぼれる。
嫌だよ…三日月さん…
どうして私を避けるの…?
「ぬしさま!?
ぬしさま、一体どうなされたのですか?」
人目を避けて廊下を歩いていると、
不意に優しく抱きしめられた。
思いのほか温かくて、
余計に涙が出てきて止まらない。
『こぎつねさん…』
そっと抱きしめ返そうとしたとき、
誰かに肩を掴まれ強く抱き寄せられた。