第10章 バトル勃発、始まる奇妙な関係
――昨日はごめんなさい…
私はそう謝ろうとしたが、それより先に口を開いたのはリアンくんの方だった。
「…ごめん」
「……、え…?」
何故彼が謝るのだろう…悪いのは私の方なのに。
「アンタを泣かすつもりはなかったんだ」
「……、」
「まさか俺たちがアンタをそこまで追い詰めてたなんて…。そうとも知らず、昨日は無茶な事言っちまったから」
「あ、あの…」
彼が何に対して謝っているのか解らない。
私が聞き返そうとすれば、今度は皐月くんが口を開く。
「俺たちのどちらか1人を選べなんて…桜子さんには酷でしたよね」
「……、」
確かに辛い選択ではあったが、彼らにとっては当然の言い分だろう。
これまで有耶無耶にしていた私が一番悪いのだから…
「それで…昨日コイツと一晩中話し合ったんだけど」
そう言ってリアンくんは一旦言葉を切る。
そして至極真面目な顔でこちらを見つめ返してきた。
「アンタさえ良ければ……俺たち2人と付き合わねぇ?」
「………」
(……はい?)
一瞬我が耳を疑う…今のは幻聴だろうか?
何か物凄く有り得ない提案をされた気がするのだけれど…
思考回路が完全に停止してしまった私に構わずリアンくんは続ける。
「俺もコイツも…アンタを諦める事は出来ない。勿論最終的にはどちらか1人を選んでほしいけど…それが今はまだ無理っつーなら、アンタの心が決まるまで俺たち2人と付き合ってほしい」
「……、」
やはり幻聴ではなかったらしい。
というか…
「ちょ、ちょっと待って…!冗談…だよね?」
2人と付き合うなんて…そんなの無理に決まっている。
「冗談でこんな事言う訳ねーだろ」
「だ、だって……そんなの…」
「桜子さんが戸惑う気持ちも解りますが……これが俺たちの出した答えです」
「皐月くんまで何言って……、だって…こんな事許されないよ…」
「許されないって…誰に?」
「え…、誰ってそれは…」
「他の誰が何と言おうと、俺たち本人がそれでいいっつってんだから別に良くね?」
「よ、良くない!」
そんなのどう考えたって普通じゃない。
いや、元はと言えばハッキリしない私が悪いのだが…
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