第10章 バトル勃発、始まる奇妙な関係
「とにかく…もう1回ちゃんと2人と話をした方がいいと思うよ」
「……、」
「皐月くん…だっけ?彼とはお店で顔合わせる訳でしょ?絶対逃げられないじゃない」
「ぅ…」
「リアンくんて子も納得してないと思うし」
「うぅ…」
どんどん気分が沈んでいく。
でもこのまま逃げてたって状況は何も変わらない。
(やっぱりもう一度ちゃんと話をしなくちゃ…)
美鈴と話した事で、自然とそう思えるようになってきた。
「美鈴…ありがと」
「なーに言ってんの、私は桜子の味方だって言ったでしょ?…あんたが真っ先に私を頼ってくれて嬉しかった」
「……、」
「さっ、しんみりした話はここまでにして…。明日は日曜だし、あんたも休みよね?今日泊まっていきなよ」
「…え……」
「着替えなら貸してあげるから」
「……、」
突然のお泊まりなんていくら何でも迷惑じゃないかと思ったが、今家に帰ればあの2人と鉢合わせしてしまうかもしれない。
私は美鈴の厚意に甘えさせてもらい、その夜彼女の自宅に泊めてもらう事にした…
(ハァ…やっぱり気が重くなってきた……)
翌日…
昼前まで美鈴の家にいた私だったが、外でランチをした後彼女と別れ自宅へ向かっていた。
彼女と一緒にいた時は勇気を貰えた気がしたのに、いざ1人になるとまたマイナス思考になってしまう。
今日は運良く仕事が休みだったので皐月くんと顔を合わせずに済むが、明日はそうもいかない。
私はちゃんと彼と向き合って話せるだろうか…
それは勿論、リアンくんに対しても同じだが…
「…ハァ……」
アパートに着いた私は、もう一度大きな溜め息をついて目の前の階段を上る。
そして…
「っ…!」
心臓が止まるかと思った。
私の部屋の前には、リアンくんと皐月くんがいて…
(…どうして2人が……)
「桜子さん!」
最初にこちらに気付いたのは皐月くんの方だった。
私はまたすぐに逃げ出したくなったが、まるで金縛りに遭ったかのように足が動かない。
結局私は駆け寄ってきた2人に捕まり、彼らを部屋の中へ通す事になった…
(何から話せばいいんだろう…)
テーブルの向かい側にはリアンくんと皐月くん。
とりあえず、まずは昨日2人の前から逃げ出してしまった事を謝ろう…
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