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*トライアングル*【R18】

第10章 バトル勃発、始まる奇妙な関係





「…そんな事分かってます」

皐月くんの言葉は意外だった。
まさか私とリアンくんの関係に気付いていたなんて…


「…イイ度胸だな。それでも俺たちの間に割り込もうって訳?」

「はい…そうです」

「………」

そうしてまた2人の間に沈黙が訪れる。
けれど今度は、リアンくんが私の方へ視線を向けてきた。


「…アンタは?」

「…え……?」

「アンタはどうしたいの?」

「っ…」

急な質問に言葉を失う。
それは私が今までずっと避けてきた悩みだ。


「アンタが選んでよ。そしたらお互い文句は無いだろ?」

「…そうですね」

「……、」

2人の視線が痛い。
このままの関係を続けるなんてイケナイ事だと解っていた。
いつかこういう日が来る事も…
でもまさか今日ここで答えを出さなければいけなくなるなんて…

(今ここでどちらかを選ぶなんて…、私には出来ない……)

2人とも魅力的で…こんな何の取り柄も無い私を好きだって言ってくれて…
でもそれが2人を苦しめる事も傷付ける事も解っている。

(だったらいっその事…)

私はぎゅっと拳を握り、意を決して顔を上げた。


「…ごめん、なさい……」

「………」

「私は…、どちらの気持ちにも応えられない…」

そう告げた瞬間、ぽろりと涙が零れる。
今になってようやく気が付いた…2人の事が同じくらい『好き』だって…


「お、おい…」

「桜子さん…」

「…本当はもっと早く言うべきだったのに…っ…、ごめんなさい…!」

私が曖昧な態度を取らなければ2人を傷付けずに済んだんだ…
2人とも同じくらい好きだなんて…こんな気持ち許されない……


「…お願い…、だからもう…私の事は忘れて…っ…」

嗚咽を漏らしながらそこまで言うと、私は逃げるようにその場から走り去った。
彼らはすぐに追い掛けてきたが、見つからないよう細い路地に入って身を隠す。


(これでいいんだ…)

彼らに好意を持ってもらえた事は本当に嬉しかった。
一時の甘い夢だったと思えば、きっとすぐに忘れられる…

それなのに…

どうして涙が止まらないんだろう…










「桜子!あんた一体……って、うわっ!」

出迎えてくれた友人に抱き付く。
このまま自宅に帰れないと思った私は親友である美鈴に電話した後、その家を訪ねていた。



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