第8章 越えた一線
ベッドの上での攻防はしばらく続いたが、不意にリアンくんの表情が真剣なものに変わった。
「…明日になったら…またしばらくアンタには会いに来られなくなる」
「…リアンくん……」
「だから…今日だけはアンタを感じさせてほしい」
「っ…」
そう言ってまた切なそうな顔をする彼。
(狡い…、またそんな顔して……)
こんなにも私の心を掻き乱す。
このままなし崩しのように体を重ねていいものかと、まだ理性の残る頭で一瞬考えたが、最早理屈ではない。
リアンくんだけでなく、私も彼を求めているんだと気付いてしまった。
「優しく…してくれる?」
「…それはアンタ次第だな」
「え…?」
「アンタが可愛過ぎたら無理させちまうかも……だから約束は出来ない」
「っ…」
「…冗談。善処する」
そう笑って彼は唇を重ねてきた。
今度は初めから深いキス。
私をその気にさせようとしているのか、厭らしく舌を絡ませてくる。
「んっ…、」
私も懸命に応えようとするが、舌を吸われたり甘噛みされたりするうち、すぐに骨抜きにされてしまって……やっぱり彼には敵わない。
「ホント…アンタとだったら、何時間でもキスしてられるな」
「……、」
部屋の照明を落とし、再びキスを再開させる。
そして彼の少し冷たい手が部屋着の中へ侵入してきた。
「へぇ…結構デカいんだ?」
「っ…」
やわやわと胸を直に揉まれ、ぴくりと体が反応する。
彼は私の部屋着を首元まで捲ると、少し体を起こしてこちらを見下ろした。
「そ、そんなに見ないで…」
「なんで?すげー綺麗…アンタの体」
薄暗いとは言え、間近で体を見られるのは恥ずかしい。
けれど胸を隠そうとした両腕はすぐに捕らえられ、彼の舌が私の首筋から鎖骨…そして更には胸の膨らみを滑った。
「ぁっ…、」
「ココ…もう勃ってる」
胸の頂を指先で弾かれ、思わず声を漏らしてしまう。
「…キスだけでこんなにしてんの?」
「っ…、ちがっ…」
「…違わねーだろ」
「ゃっ、あ…」
今度はねっとりと舌を這わせてくる彼。
舌先でソコを突かれると、下腹部が堪らなく疼く。
片方の胸は指で愛撫され…もう片方は舌で舐められたり甘噛みされたり…
私は無意識に彼の髪に指を絡ませ、小さく喘いでいた。
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