第8章 越えた一線
(だからなんでそういう事を平気で言うかな…)
リアンくんはそのまま私の耳に舌を這わせてくる。
不意打ちの愛撫に私は思わず体を竦ませた。
「…相変わらずココ弱ぇのな」
「っ…」
「つかさ…さっきからずっと気になってたんだけど」
「…?」
「アンタ、下着つけてねーだろ?」
「…!」
そう指摘され、今頃自分の失態に気付く。
お風呂上がりは基本的にブラを着けていない。
今着ている部屋着はゆったりしたデザインだし、そんな事気にも留めていなかったのだが…
「…もしかして誘ってる?」
「そんな訳ないでしょ!リアンくんが来るなんて考えてもなかったし…私もう寝るところだったんだから!」
「…あっそ。けど残念…今日は寝かさねーから」
「…え?」
そう聞き返した瞬間、ふわっと体が宙を浮く。
お姫様抱っこされたと気付いた時にはもう遅く、私の体はベッドの上に横たえられていた。
「ちょっ…」
「一応聞くけど……シてもいい?」
「…は…?」
「…まぁダメって言われてもするけど」
「………」
展開が早過ぎて頭がついていかない。
「するって何を…?」とついバカな質問をしてしまった。
案の定大きな溜め息をつく彼。
「…それ本気で言ってる?」
「……、」
「ハッキリ言ってほしいんなら俺は別に構わないけどな」
「いや、あの…」
「…アンタとセックスしたい」
「っ…」
焦る私の耳元で、彼はドストレートにそんな事を言ってくる。
私は何も言い返せず、ただあわあわと慌てるだけで…
「…アンタの事抱きたい」
「…!」
「メチャクチャに乱れさせて…俺だけのモノにしたい」
「す、すとっぷ!」
これ以上聞いていたら私の心臓が止まってしまいそうだ。
「…何だよ、アンタがハッキリ言えって言うから」
「そんな事聞いてない!」
「…で、返事は?"イエス"か"ハイ"で答えろよ」
「ノー!」
おかしいでしょ、その2択!
そんな古典的な手に引っ掛かる私ではない。
けれど彼は私の返事など無視して、事を進めようとする。
「ちょ、ちょっとダメだってば!」
「…なんで」
「なんでって…」
「ゴムならちゃんと持ってる…マナーだからな」
「そういう問題じゃ…」
そんなドヤ顔で言われても…
というかなんでそんな用意周到なの…?
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