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*トライアングル*【R18】

第8章 越えた一線





「とにかく帰って!」

「…アンタと話すまで帰らない」

「………」

「…いいの?近所のヤツらに変な目で見られるんじゃね?」

「っ…」

(今度は脅すつもり…?)

けれどこのままでは本当に居座られそうだ。
私は少し悩んだ後、結局ドアを開ける事にした。


「きゃっ…」

ドアを開けた瞬間、中へ入ってきた彼にぎゅっと抱き締められる。


「ちょ、ちょっと…!」

「…昼間はごめん」

「……、」

珍しくしおらしい態度の彼。
一気に毒気を抜かれ、すっかり抵抗するのも忘れてしまった。


「本当はアンタに会うの悩んだけど…二階堂からアンタの事聞いたら、居ても立っても居られなくなって…」

「……、二階堂さんから…?」

「ああ……アンタが泣いてたって…」

「っ…」

二階堂さん、なんて事を…


「俺も誤解されたままは嫌だし、とにかく話を聞いてほしかった…」

「………」


それから私たちは部屋の奥へ移動した。
彼に座るよう促し、お茶を淹れる。


「…二階堂からどこまで聞いてる?」

「どこまでって…。リアンくんがお父さんと喧嘩して…それから様子がおかしいって、それくらいしか聞いてないけど…」

「………」

そう答えると、彼は溜め息をついた後初めから全てを話してくれた。


「この間親父に呼び出されて実家に帰ったら…いきなり見合いの話を持ち掛けられたんだ」

「…えっ…、お見合い…?だってリアンくん、まだ19でしょ?」

「親父にとっては"もう19"って感じらしいけどな。どっかの会社の社長令嬢と一度会えって言ってきてさ」

「……、」

「けど俺は断った…俺には心に決めた相手がいるっつって。…勿論アンタの事」

「っ…」

「そしたら親父のヤツ…相手の家柄だの学歴だの聞いてきやがった。そんなの俺には取るに足らない事だって言ったら、急にキレだして…そのまま口論になったんだよ」

「………」

予想はしていたが、やはり彼の家はそういう事に厳しいらしい。
まぁ当然と言えば当然かもしれないけれど。


「それから親父は、部下を使って俺の事を探り出したんだ。俺が言った『心に決めた相手』っつーのを突き止める為にな」

「……、」

「このままじゃアンタにも迷惑掛かるし…ほとぼりが冷めるまで、アンタに接触するのはやめようと思ったんだよ」



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