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*トライアングル*【R18】

第8章 越えた一線





「でも…だったら、電話でもメールでも…そう言ってくれれば良かったのに…」

「連絡なんか取ったら、アンタに会いたくなるに決まってんだろ」

「……、」

「今日だって…アンタの方から会いに来てくれるなんて思わなかったから……死ぬ程嬉しかった」

「リアンくん…」

「悪かったな…追い返すような真似して」

「…もういいよ」

彼が私を避けていた理由がちゃんと解ったのだから…


(あ…そう言えば……)

もう1つ気になる事がある。
リアンくんと一緒に歩いていた、あの女の子の事だ。


「つかさ…アレどういう意味?」

「え…?」

「『可愛い彼女と末永くお幸せに』とか言ってただろ。意味わかんねーんだけど」

「…自分の胸に聞いてみれば?」

私は敢えて冷たくそう言う。
端から見れば、あの光景はどう見たって仲の良い恋人同士のようだった。
誤解されたって仕方がないだろう。


「なんだよ…ハッキリ言えよ」

「腕組んで楽しそうに歩いてたでしょ。すっごく可愛い女の子と」

「………」

嫌味たっぷりにそう言うと、彼は何か思い当たる事があったようで。


「…何?ヤキモチ?」

「っ…」

意地の悪い顔で笑いながらそう言い返してきた。


「べ、別にそんなんじゃ…」

「アンタでもヤキモチ妬いてくれるんだ?」

「だから違うって…!」

「安心しなよ…アレ、そんなんじゃねーから」

「………」


彼いわく、彼女こそが『例の社長令嬢』だそうだ。
父親の機嫌を取る為、一度だけ彼女と食事をしたらしい。


「…ったく、ホント迷惑な話だよな。自分は他所に愛人作ってその愛人に子供まで生ませたくせに…。俺には金持ちで学歴のある女と付き合えなんて……反吐が出る」

「リアンくん…」

彼は吐き捨てるようにそう言った。


「けど俺…最近分かったんだ」

「…?」

「親父が俺に…そこまで拘る理由が」

そう話す彼の表情はどこか複雑そうなもので…


「親父が本当に愛していたのは…本妻じゃなくて、俺の母親の方だったんじゃないかって」

「…え……?」

「ずっと解らなかった…世間体を気にするあの親父が、なんで愛人の子である俺を施設に入れず引き取ったのか…。きっとそれは、母親の面影を俺に重ねてたんだと思う。だから親父は今でも俺を縛り付けたがるんだ」



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