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*トライアングル*【R18】

第7章 揺れる心





「私はこう見えても日本育ちですから、日本語で大丈夫ですよ」

「……、」

目の前の男性は流暢な日本語でそう言った。
私はもう一度頭を下げ、すぐにタオルを持ってくると彼に告げる。
けれど…


「お気遣いは有り難いのですが、今は急いでいるので結構です」

「で、でも…」

幸い掛けてしまった水の量は大した事なかったが、それでも私の不注意で高そうなスーツを濡らしてしまったのだ、何もお詫びをしない訳にはいかない。

私がどうしようか困惑していると、彼はクスリと笑って私の手を取った。


「それでは…今度宜しければ、私とお食事でもして頂けませんか?」

「…え……?」

(それってどういう…)


「おっと…もう少しお話をしていたいところなのですが、本当に時間が無いので失礼致します」

「……、」

「それではまた」

「…!」

そう言って彼は私の指先にキスをした。
驚いている私を見て微笑んだ後、足早にその場から立ち去っていく。


(何今の人…)

初めてリアンくんに会った時の事を思い出した。
西洋人(かは分からないが)はみんなああやって挨拶するのが普通なのだろうか…
そう言えばどことなくリアンくんに似ていたような気もするが…

(…って、何考えてるの私)

金髪白人のイケメンが、みんなリアンくんに見えるなんて重症だ。

(もう彼の事は忘れよう…)

私は心にそう決め、その日は一日仕事に精を出した。





その日の夜…


♪~♪♪~


「…?」

携帯に知らない番号から電話が掛かってきた。
出ようか出まいか悩んだ末、恐る恐る通話ボタンを押してみる。


「も、もしもし…」

『夜分遅くに失礼致します。リアン様の専属執事、二階堂でございます』

「えっ…二階堂さん?」

あまりに意外過ぎる相手で驚いてしまった。
どうして二階堂さんが…?


『突然申し訳ありません。万が一の時の為にと、相沢様の携帯番号はリアン様から伺っておりました』

「は、はぁ…」

万が一の時の為って…リアンくんに何かあったのかな…


『不躾な質問、お許し下さい。最近リアン様とご連絡などは取られておりますか?』

「…い、いえ……取ってませんけど…」

というより、向こうからの返信は一切無い。
私もあれ以来メールや電話もしていないので、完全に音信不通状態なのだが…



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