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*トライアングル*【R18】

第7章 揺れる心





(2人の事を好きでもいい…?)

正直呆れられるかと思ったが、美鈴から出た言葉は意外なものだった。


「でも…それは狡いっていうか……2人にも悪いし…」

「桜子は相変わらず真面目だねー」

「そ、そんな事…」

「人の気持ちなんてそう簡単に割り切れないよ」

「……、」

そう話す彼女の言葉には妙な説得力がある。
彼女は食後のコーヒーを飲むと、懐かしむように思い出話を始めた。


「実はね…誰にも話した事はなかったんだけど…。私二十歳の頃……奥さんのいる人と付き合ってたの」

「…えっ……」

「あーでもね、これは言い訳になっちゃうかもしれないけど…付き合い始めた時は、相手の人に奥さんがいるなんて知らなかったんだよ?…付き合って3ヶ月くらいの頃かな?相手の人が実は結婚してるって事に気付いたのは」

「……、それで…どうしたの?」

「最初は勿論、すぐに別れようと思った…。でも…あの頃の私は周りが見えないくらいその人の事が好きで…。年上だから包容力もあったし、私のワガママもよく聞いてくれたし…」

「………」

「イケナイ事をしてるっていう自覚はあったけど、自分の気持ちは抑えられなくて…。結局その後半年くらいはズルズルと関係を続けちゃったんだよね」

「…でも…そんなに好きだった人とどうやって別れたの?」

そう尋ねると、彼女は更にバツの悪そうな顔をする。


「私…ダメだと思いながらも、ある日その人の携帯を見ちゃったの。そしたら…」

「…そしたら?」

「奥さんとのメールのやり取りを見て…2人の間にもうすぐ子供が生まれるって知ったんだ」

「……、」

「それでね…やっぱりこのままじゃいけないって、私から別れを切り出したの」

「美鈴…」

「本当はあの時桜子に相談しようかなって思ったんだけど……あんたに軽蔑されるのが怖くて」

「そんなっ…軽蔑なんてしないよ」

「…そうだよね。でもあの頃の私はホントに余裕が無くて、何かとマイナス思考だったからなぁ」

そう言って彼女は苦笑いした。


「あっ、でもね…今は流石にもう吹っ切れてるから。新しい彼氏も出来てラブラブだし?」

「うん…それなら良かった」

「だから桜子も遠慮せず私に相談してね?何があっても、私はあんたの味方だから」

「美鈴…」



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