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*トライアングル*【R18】

第5章 ツンデレ、風邪を引く





「…今取り込み中なんだけど」

電話に出たリアンくんは不機嫌な声でそう言う。
一体相手は誰なんだろう?

そう思っていると、1分も経たないうちに彼は電話を切った。


「電話の相手…誰だったの?」

「…二階堂」

「え…」

「今マンションの前にいるから、すぐ部屋まで来るって。…ったく、タイミングわりーな」

「あっ…じゃ、じゃあ私帰るよ」

出来る事なら二階堂さんと顔を合わせたくはない。
リアンくんと2人きりでこの部屋にいた事が知られたら、どう思われるか…


「なんで?帰る必要無くね?」

「いや、あるでしょ!私がいたら邪魔だろうし」

「邪魔な訳ねーだろ。…つか、二階堂もアンタと話してみたいってこの間言ってたしな」

「え…?」

リアンくんとそんなやり取りをしていると、インターフォンが鳴らされた。
…どうやらこの場から去るタイミングを逃してしまったらしい。



「…ああ相沢様、いらっしゃっていたんですね」

「す、すみません!すぐに帰りますので!」

現れた二階堂さんにお辞儀して荷物を手にする。
けれど彼からは意外な言葉が返ってきた。


「私の方こそお邪魔をしてしまって申し訳ありません」

「い、いえ!とんでもない!」

「これからリアン様に夕食をお作りする予定だったのですが…宜しければ相沢様も召し上がっていかれませんか?」

「そんな…私は……」

「食ってけよ」

そう言ってきたのはリアンくん。
私が戸惑っていると、二階堂さんも「是非」と笑顔を浮かべる。

(こ、断りづらい…)

結局私はノーと言えず、夕食をリアンくんの家で頂く事になってしまった。





「あの…お夕食ありがとうございました。すごく美味しかったです」

「お口に合ったようで何よりです」

二階堂さんが作ってくれた料理はどれも絶品だった。
仕事柄そういう事が気になる私は、そのレシピや作り方を教わりたいくらいだ。


「あの…じゃあ私、そろそろ…」

気付けばもうすぐ夜の9時。
明日も早いし、いつまでもここにいる訳にはいかない。


「…泊まってけば?」

「っ…」

二階堂さんの前で何て事を言うんだろう。
まるで私たちが"そういう"関係みたいに思われる。

けれど二階堂さんは特に気にする風でもなく、穏やかな表情を浮かべていた。



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