第5章 ツンデレ、風邪を引く
気付けば腰を引き寄せられ、自然と互いの体が密着する。
私は恥ずかしさも忘れ、リアンくんとのキスに夢中になった。
「はぁっ…、」
「…アンタの舌も舐めさせて」
「っ…」
一旦唇を離した彼が色っぽい顔でそんな事を囁いてくる。
(…その顔反則……)
もうまともな思考は持ち合わせていなかった。
言われるがまま、自分から舌を絡ませる。
年下の…しかも未成年の男の子相手にイケナイ事をしている気分だったが、それでも今は止められない。
「んっ…、ふ…」
いつもより熱い彼の舌が私のものに絡んでくる。
いつの間にかキスの主導権は彼に握られ、されるがままになっていた。
「…今日はずいぶん積極的じゃん」
「っ…」
「つか俺、アンタの唇好き」
「……、」
改めてそう言われると恥ずかしい。
彼は私の耳元に唇を寄せると、チュッと触れるだけのキスをしてくる。
「俺たち、キスの相性サイコーじゃね?」
「し、知らない!」
「俺…キスだけで勃ったの初めてだし」
「……は?」
「…アンタのせいなんだから、責任とってよ」
「っ…」
熱っぽい表情でこちらを見上げてくる彼。
そのまま動けずにいると、再びベッドに押し倒された。
「ちょっ…」
「…アンタとシたい」
「…!」
ストレートにそう言ってくる彼に焦る。
いくら何でもそれは出来ない。
「びょ、病人のくせに何言ってるの!」
「…薬飲んで寝たら治った」
「そんな訳ないでしょ!」
「つかさ…俺が病人じゃなきゃいいって事?」
「ちがっ…」
「…もう止める気ねーけど」
「っ…」
「アンタは何もしなくていいから。俺…アンタを満足させる自信あるし」
(ほ、本気だ…!)
まるで獲物を捕らえた肉食動物のように、彼の瞳が妖しく光って見える。
このままじゃホントに…
そう身構えた時…
――RRRRR…
突然無機質な電子音が響いた。
どうやら彼の携帯が鳴っているようだ。
「リ、リアンくん電話!」
「…無視してりゃいい」
「ダメだって、ほら!」
天の助けとばかりに、彼に電話を取るよう促す。
彼は舌打ちをすると、一旦私の上から退いて携帯を手に取った。
(た、助かった…)
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