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*トライアングル*【R18】

第5章 ツンデレ、風邪を引く





「わっ…!」

インターフォンを鳴らしてから数十秒後…
ゆっくりドアが開いたかと思えば、中から私に凭れ掛かるようにして出てきた人物がいた……リアンくんだ。


「ちょっ…、リアンくん……重い」

「…怠い……死ぬ」

「え…?」

そう言う彼の体は妙に熱い。
もしかして…


「…リアンくん、風邪?」

「………」

無言でコクリと頷く彼。
電話で「死ぬかも」なんて言うから焦って来てみれば…


「もぅ…驚かさないでよ。びっくりしたでしょ」

「…こうでも言わなきゃ、アンタ来てくれねーだろ」

「……、」

そう言って私を恨めしそうに見る彼の顔はほんのり赤く、瞳も潤んでいるように見えた。


「とにかく部屋に戻って、ベッドで休もう?」

「…何…一緒に寝てくれんの?…今日はやけに積極的じゃん」

「……。それだけ元気があれば、私の看病なんて必要無さそうだね」

「…チッ……冗談だろ」

舌打ちする彼に溜め息をつき、その体を支えながら部屋の奥へ足を踏み入れる。
マンションの外観同様、部屋の中もまるでホテルのスイートルームを思わせるような造りになっていた(実際スイートルームに泊まった事など無いが)。


「家の人…誰もいないの?」

「…つか俺、一人暮らしだし」

「えっ!?」

こんな広い部屋で一人暮らしとか…
やっぱり彼はどこかの御曹子なのだろうか。

そんな事を考えながら、彼をベッドに寝かせる。


「熱計った?」

「…計ってねー」

「もぅ…。ご飯は……その調子じゃ食べてないよね」

「…食欲ねーし。まぁアンタが何か作ってくれんなら、食べてやってもいいけど」

「………」

風邪を引いても彼のこの態度は変わらないらしい。
私はもう一度大きな溜め息をつき、「じゃあお粥作るから、ちゃんと食べて」と彼に告げた。


「体温計とか無いの?」

「…さぁ…どっかにあんじゃね?」

(……ダメだこりゃ)


彼に一言断ってから冷蔵庫を開ける。
意外にも、中には色んな食材が揃っていた。
これならまともな料理が作れそうだ。


「リアンくんて料理するの?」

「…しねーけど」

「その割には冷蔵庫の中充実してない?」

「……。週に数回、二階堂のヤツが来るからな」

(…二階堂さん?)

前に一度会った事がある、リアンくんの家の使用人だ。



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