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*トライアングル*【R18】

第4章 まるで飼い主とペット





(今日はまったりしてるなぁ…)


皐月くんに告白をされてから数日後…
今日は天気が悪いせいもあってか、あまりお客さんが入っていなかった。
叔父さんは、「ちょっと煙草を切らしたから買ってくる」と言って外出してしまったし…

(まったく自由なんだから…)

心の中でそうぼやく私の横では、働き者の皐月くんが熱心に店内の掃除をしている。


「皐月くんも適度に休憩していいからね」

そう言って私は、自分と彼の分のコーヒーを淹れた。
たまには息抜きをしたってバチは当たらないだろう。


「ありがとうございます」


彼に告白された後も、私たちはお互い普通に接するようにしていた。
勿論全く意識をしていない訳ではないが、少なくともお店では今まで通りだ。


(あれ…こんな本置いてあったっけ?)

ふと、店内にある本棚が目に付いた。
そこには見覚えのない犬の写真集のような物が並べられていて…

(きっと叔父さんね)

叔父さんは大の犬好きなのだ。
最近では飼おうかどうしようか本気で悩んでいるらしい。

何となく興味の湧いた私はその写真集を手に取って開いてみた。


(うわ、可愛い……)


「何見てるんですか?」

モップを手にしている皐月くんが私の手元を覗き込んでくる。


「犬の写真集。叔父さんが買ってきたみたいなんだけど」

「へぇ…すごく可愛いですね」

「うん。やっぱり動物は癒されるよね」

「桜子さんも犬が好きなんですか?」

「うーん、そうだね。基本的に動物は何でも好きだけど…犬は特に好きかな」

そう言いながらページを捲っていると、優しい瞳をしたゴールデンレトリバーの写真があった。

(…なんかちょっと皐月くんぽいかも)

体が大きいところとか、優しい顔をしているところとか…

無意識に彼の方へ視線を向けると、バッチリ目が合ってしまう。
私はついクスクスと笑ってしまった。


「…桜子さん?」

「ふふっ、ごめんね。前から思ってたんだけど…皐月くんてちょっとワンコっぽいかなぁって」

「え?」

「優しくて頼り甲斐のある大型犬」

「……、」

私の言葉に目を丸くさせている彼。
いくら何でも動物に例えるのは失礼だったかもしれない。

そう思い直して謝ろうとすると、彼は何故か嬉しそうな顔をしていた。



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