• テキストサイズ

*トライアングル*【R18】

第4章 まるで飼い主とペット





「ちょっ…、リアンくっ…」

文句を言おうとした口を彼の手で塞がれる。
そのまま私はズルズルと引摺られるように彼に連行された。

…何か言いたそうな皐月くんをその場に残して。









「ハァ…」

翌日…
朝から重い溜め息をつく。

(昨日は皐月くんに悪い事しちゃったな…)

昨日はあの後、リアンくんにレストランへ連れて行かれた(しかも高そうな)。
それはそれで楽しい時間だったが…ろくに挨拶も出来ず、あのまま別れてしまった皐月くんには悪い事をしてしまった。
それに…


――この人、俺のだから


(あの言葉もちゃんと否定しておかないと…)





「2人ともお疲れ様。後は任せちゃってもいいかな?」

「うん、大丈夫」


閉店後…
いつもは叔父さんが最後まで残っているのだが…今日はどうしても外せない用があるとかで、珍しく私たちより先に上がった。
静まり返った店内には、私と皐月くんしかいない。


(とりあえず昨日の事を謝ろう…)

そう思っていた矢先…


「あの……桜子さん」

先に声を掛けてきたのは彼の方だった。


「な、なに?」

「昨日の人……彼氏ですか?」

「…!」

いきなり核心を突く質問。
"昨日の人"とは、勿論リアンくんの事だろう。


「ち、違うの……リアンくんは彼氏じゃなくて…」

「でも昨日……あの人とキスしてましたよね?」

「っ…、あれは……」

まさかあの時見られていたなんて…
私は思わず赤面する。


「隠さなくてもいいですよ。…それとも桜子さんは…彼氏じゃない人ともキスするんですか?」

「……、」

じりじりと近付いてくる皐月くん。
私を追い詰めてくるようなその言動は、いつもの彼じゃないみたいで少し怖い。


「じゃあ俺とも……キス出来ます?」

「え…?」

反射的に後退りすると、トンッと背中に壁が当たる。
けれどすぐ目の前には皐月くんがいて…


「皐月く…、」

「桜子さん……好きです」

「っ…」

囁かれるようにそう言われた瞬間…
両腕はやんわり壁に縫い付けられ、半ば強引に唇を塞がれた。

(う、嘘…)

頭が真っ白になる。
すぐに唇を離した皐月くんは、互いの鼻先が付きそうな距離でじっと私を見つめてきた。



.
/ 248ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp