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*トライアングル*【R18】

第4章 まるで飼い主とペット





「皐月は本当に優しい子で…。施設を出た後もこうして定期的に差し入れをしてくれたり、子供たちの相手をしてくれたり……でも私はそれが少し心配なんです」

「心配…?」

「ええ……皐月にはもっと自分の幸せを一番に考えてほしいんですよ。私の跡を継いでくれるという話も勿論嬉しいんですが……彼が心の底から『継ぎたい』と思って言ってくれているのか…それとも、私に恩を返す為にそんな事を言っているのか…。もし後者だとすれば、私はキッパリ断ろうと思っています」

「古林さん…」

「私は独り身なので、何の足枷もありませんが…。皐月にはこれから好きな人が出来て、結婚だって考える時が来るかもしれません。そうなった時、この施設を背負っていくにはあまりにも大変でしょう。だから正直、私は反対なんですよ」

「……、」

「ああ、すみません…初対面の方にこんな話を…」

「い、いえ…」

「今の話…皐月には黙っておいてもらえますか?」

「はい、勿論です」

「いずれ私からきちんと話そうと思っているので…」

(古林さんは本当に皐月くんの幸せを願ってるんだ…)

その気持ちが痛い程伝わってくる。

私たちがそんな話をしていると、それまで子供たちと遊んでいた皐月くんが部屋に入ってきた。


「古林さん、子供たちお腹空いたって」

「ああ、もうこんな時間か…。良かったら皐月たちも夕飯食べていかないか?」

「え…?」

「相沢さんも是非食べていって下さい。大勢の方が子供たちも喜びますから」

「えっと…それじゃあ、お言葉に甘えて」

「じゃあ…俺も」

「良かったら、私にもお夕飯作るの手伝わせてもらえませんか?」

「いいんですか?それは助かります」


そうして私は夕飯作りのお手伝いをする事になった。
仕事以外で誰かの為に食事を作る事はなかなか無いので、つい張り切ってしまう。
ハンバーグとカレーが大好物だという子供たちに、私はハンバーグカレーを作る事にした。





「さすがは桜子さん、手際がいいですね」

私の隣で野菜を切る皐月くんがそう声を掛けてくる。


「皐月くんだってすごく手慣れた感じだよ」

「ははっ、料理は好きなんで割と自炊してるんです」

私たちがそんなやり取りをしていると…


「わぁーい、しんこんさーん!」

背後から子供の声が聞こえた。



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