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*トライアングル*【R18】

第25章 苦い過去





林 玲香は、俺が中3の時父に雇われた家庭教師だった。
元々父の友人の娘であった彼女は、当時すでに就職が決まっていた一流大学の4年生で。
彼女が8つも年下の俺を"オトコ"として見ている事にはすぐに気が付いた。
けれど当時自分自身の事も含め何に対しても無関心だった俺は、彼女に体を求められても拒まなかったのだ。

生まれて初めてのセックス…その感想は「こんなもんか」だった。
俺も男だ…好きでもない女相手でも勃つもんは勃つし、出るもんは出る。
だがそれだけ。
彼女とのセックスは、"オナニーを手伝ってもらっている"…そんな感覚に近かった。

それから俺たちは一度ならず何度か体を重ねる関係になったが、その後俺は中学を卒業…彼女も新社会人になるのをきっかけに俺たちの関係は終わった。
そして今日この日まで、彼女に会う事は一度も無かったのだが…





「会いにきてくれて嬉しいわ」

「あなたにはお世話になりましたからね…一応お祝いの言葉だけでもと思いまして」

「"お世話"…ねぇ。どっちの事かしら」

「…勉強を見てもらった事に決まってるでしょう」

「あら、つれない」

そう言って彼女は肩を竦ませてみせた。
出会った頃から綺麗だった彼女。
その美貌は今も健在で、今日も華やかなパーティードレスがよく似合っている。
…だからと言って彼女に対し何の感情も持てないけれど。


「ねぇ…パーティーが終わったら付き合ってくれない?リアンももう二十歳でしょう?このホテルに良いバーがあるのよ」

「…遠慮しておきます。明日も朝早いので」

「あら、明日は日曜よ?それとも…カノジョとデートの約束でもしてるのかしら」

「…そういう事にしておいて下さい」

本当にデートの約束をしていた訳ではないが、断るには持ってこいの口実。
俺の言葉を聞いて一瞬目を丸くさせた彼女は、「残念」と言って持っていたグラスに口を付けた。


「じゃあ私の挨拶回りが終わったら1杯だけ付き合ってよ。そのくらいならいいでしょう?」

「………」

「女に恥をかかせるつもり?」

「…解りましたよ」

ハァと溜め息をつき、渋々彼女の誘いを受ける。

その事を後に後悔するなんて、この時の俺はまだ夢にも思っていなかった…



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