第24章 時にはお酒の力を借りて
「……、」
舌っ足らずな桜子さんの声にドキリとする。
ひょっとしてうたた寝でもしていたのだろうか?
一瞬そう思ったが、彼女の様子がいつもと違う事に気付いたのはそのすぐ後だった。
『あははっ、しゃちゅきくんどうしたの~?』
「……、桜子さん…もしかしてお酒飲んでます?」
『飲んでるよ~。しゃちゅきくんも飲みに来る?』
「……、」
飽くまでも酔っ払いの戯れ言だ…その誘いに乗ろうかどうしようか迷ったが、俺は「行きます」と答えた。
酒に弱い桜子さんが酔っ払う程飲むなんて珍しい。
やっぱり何かあったのかもしれない。
俺は5分でシャワーを浴び、濡れた髪も乾かさないまま家を出た。
「いらっしゃ~い」
「…お邪魔します」
頬を赤くさせ、俺を上機嫌で出迎えてくれた桜子さん。
勿論それは照れている訳ではなく酒のせいだ。
「ほらほら、皐月くんも飲んで飲んで!」
「ちょっ…俺未成年ですから…!」
ソファーに座ったと同時に酒を勧められ慌てる。
いつもの彼女なら俺に酒を勧めてくるなんて絶対あり得ないのに…やはり相当酔っているらしい。
「何よぅ…私のお酒が飲めないってゆーの?」
「そ、そういう訳じゃ…」
「いいもん…無理矢理飲ませちゃうから」
そう呟いた直後…彼女は酒の入ったグラスを手に取り、その中身をぐびっと口に含んだ。
そしてあろう事か、そのまま俺の口を塞いできて…
「んんっ…!」
口内を満たしていく酒の味…
飲み込みきれなかったそれが顎を伝って服を濡らしていく。
そんな俺に構わず、桜子さんは舌を絡ませるようにキスを続けてきた。
(う……やばい…)
いくら彼女が酔っているとはいえ、そんな事をされれば当然俺の雄が反応してしまう。
彼女もアルコールのせいで少し興奮しているのか、キスをしながら俺の首に両腕を回してきた。
こんな積極的な彼女には、普段なかなかお目にかかれない。
「はぁっ…」
唇を離した彼女がとろんとした目でこちらを見上げてくる。
「美味しかった…?」と悪戯っぽく笑うその表情に、俺の心臓はバカみたいに音を立てて…
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