第23章 甘え上手な恋人
(なんか今聞き捨てならない台詞が聞こえたような…)
「リ、リアンくん疲れてるでしょ?先にお風呂でも…」
「…やだ。アンタがいい」
「きゃっ…」
私を抱き上げた彼が部屋の奥へ歩を進める。
そしてリビングのソファーに私を下ろすと、上から覆い被さってきた。
「ちょっ…」
「…3週間もアンタに触れられなくて…頭おかしくなりそうだった…。親父には相変わらず小言ばっか言われるし…」
「……、」
リアンくんの言う通り、こうして彼と触れ合うのはクリスマスの日以来だ。
あの数日後彼は日本を発ってしまったから…
(…リアンくん……)
いつもより明らかに元気の無い彼。
体だけでなく顔も少し窶れているように見える。
お父さんに嫌な事を言われてもきっと我慢したのだろう。
彼は言っていた…私との仲をいつか認めてもらう為に、今は何を言われても耐えると。
その言葉を思い出しズキンと胸が痛んだ。
「…ごめん」
「…なんでアンタが謝んの?」
「だって…」
「これは俺と親父の問題で、アンタが気に病む事なんかねーだろ」
「そうかもしれないけど…」
何も出来ない自分が歯痒い。
けれどその思いが伝わったのか、目の前の彼の表情が少しだけ和らぐ。
「まぁアンタがどうしても俺の為に何かしたいって言うなら…」
──今日は思う存分アンタに甘えさせて?
「んっ…」
「はぁっ…、まだ全然足りねぇ…」
何度も繰り返されるキス。
てっきりこのまま事に及ぶのかと思っていたが、彼は一向にキス以上の事をしてこない。
そろそろ唇の感覚も麻痺してきているのだけれど…
「…キスだけじゃ不満?」
「なっ…、そんなんじゃ…」
「…まぁ俺もそろそろ限界だけど」
そう言うリアンくんに手を掴まれ、導かれたのは彼の下腹部で…
「っ…」
「…全然ヌいてなかったから、キスだけでもヤバい」
その言葉通り、彼のモノはズボン越しでもハッキリ分かるくらい主張している。
私はゆっくり手の平でソコを撫でた。
「…何?シてくれんの?」
「……、」
彼の言葉にこくりと頷く。
私に出来る事はこれくらいしかないし…
それに…
(私もリアンくんの事を感じたい…)
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