第3章 恋は盲目、ストーカーは犯罪
「お、おい…大丈夫かよ」
「ごめん……安心したら急に気が抜けちゃって…」
「………」
今になってまた恐怖が甦ってくる。
ストーカーにナイフを向けられた時は本当にどうしようかと思った…
もしあそこでリアンくんが来てくれなかったらと考えるだけで体が震えてくる。
「…怖い思いさせて悪かった」
私と同じようにしゃがんだリアンくんが、ぽんぽんと私の頭を撫でてきた。
「ストーカーを捕まえる為とは言え、アンタを囮に使っちまったからな」
「…どうして電話くれた時に教えてくれなかったの?」
「敵を欺くにはまず味方からって言うじゃん。それに可能性は低いと思ったけど…もし俺たちの通話をアイツが盗聴でもしてたら…と思ってさ」
「………」
さらっと言われた一言だったが、そんな事をされていたらと思うとゾッとする。
「つかアンタ…ホント警戒心無さすぎ」
「え…?」
「俺に呼び出されたからって、ノコノコ1人で公園に来ようとするなんてさ」
「そ、それは…」
あの時は犯人の正体が知りたくて焦ってたから…
「俺がアンタを1人で行動させる訳ないだろ」
「ぅ…」
「…やっぱり、危なっかしいアンタには俺がついてなきゃな」
そう言ってリアンくんは私を抱き寄せた。
そして耳元で甘く囁いてくる。
「だからさ……俺をアンタの恋人にしてよ」
「っ…」
「アンタの事…いつでも守れるように」
そのストレートな告白に、カァッと顔が熱くなる。
彼は一体どこまで本気なのだろう…
今回の件では危険な目に遭ってまで私を助けてくれたのだ…その気持ちがいい加減なものではないと頭では解っているけれど…
少しだけ体を離した彼が私の顔をじっと見つめてきた。
「返事……聞かせてくれねーの?」
「……、」
「それとも…俺の言ってる事、信用できねー?」
「そうじゃない……けど…」
そもそもどうして彼が私なんかに構うのだろう…
それは出会ってからずっと疑問に思っていた事だ。
彼なら色んな女の子に言い寄られているだろうし、何も年上の私じゃなくても…
なかなか答えを出さない私に彼は溜め息をつく。
「まぁいい…返事は今じゃなくても」
「リアンくん…」
「色々あって疲れただろ?今日はもう帰ろうぜ…送ってくから」
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