第21章 聖なる夜に
結局美鈴に言いくるめられたまま電話を切った私。
(もぅ…一体何考えてるのよ……)
心の中でそう悪態をついていると、通話を終えたばかりのスマホがまた音を立てて鳴った。
ディスプレイには"リアンくん"の文字。
彼が連絡をしてくるなんて珍しい…何か急用だろうか。
「…もしもしリアンくん?」
『ああ…今平気?』
「うん、どうしたの?」
『アンタ…クリスマスは勿論予定空いてるよな?』
「……、」
さも当然のようにそう言ってくる彼。
今年のイブは日曜で、ちょうど仕事も休みだ。
「うん…24日は仕事も休みだけど」
『だったら……3人でパーティーでもしねぇ?』
「…え……?」
意外だった…彼の口から「3人で」なんて言葉が出てくるなんて…("パーティー"という単語もだが)
勿論もう1人は皐月くんだろう。
『ホントはアンタと2人きりで過ごしたいけど…どうせアイツも同じ事考えてるだろうし、抜け駆けされるぐらいだったら初めから3人でと思って…』
「…リアンくん……」
『つか…実はもうアイツにも連絡済みなんだけど』
「えっ…そうなの?」
『ああ…場所はアンタんちでいい?』
「うん…それは全然構わないけど」
『…じゃあ決まりな』
「……、」
ひょっとしてリアンくん気を遣ってくれたのかな…?
私がまた2人の間でうじうじ悩まないように…
3人で過ごす事に抵抗がない訳じゃないが、もし2人から誘いを受けたらきっと優柔不断な私はどちらかなんて選べないから…
「…あの……リアンくん…ありがとう」
『…別に。つーか…アンタあれ着てよ』
「え…?」
『ほら…クリスマス当日とか、ケーキの売り子が着てるヤツ』
「………」
それってもしかして…
(…サンタクロースのコスチューム?)
「……リアンくんてそんな趣味あったの?」
『変な言い方すんなよ。別に俺はコスプレが好きな訳じゃねぇ…アンタがあのカッコしてるとこが見たいだけ』
「同じでしょ!」
『つー事で期待してるから…』
「ちょっ…」
反論する前に通話を切られてしまった…
(ホントにもう、マイペースなんだから…)
でも正直嬉しい…彼ら2人と過ごせるなんて。
サンタクロースのコスチュームを着るかどうかは置いておいて、当日はパーティーの為に色々準備頑張っちゃおう。
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