第3章 恋は盲目、ストーカーは犯罪
「リアンくん!」
私のすぐ後ろにいたのは彼だった。
彼は庇うように、自分の背後へ私を隠す。
「リアンくん……公園にいたんじゃ…」
「悪い…アレ嘘」
「え…?」
「ホントはアンタが家を出てから、ずっと後ろをつけてたんだ」
「……、」
「アンタが1人になれば、絶対犯人が接触してくると思ったからな」
そう言って彼は目の前の男を睨み付ける。
「観念しろよ、ストーカー野郎」
「くっ…、お前さえ……お前さえいなければ…!」
男は自暴自棄になったのか、ナイフを構えこちらへ突進してきた。
けれどリアンくんは、いとも簡単にその手を捕らえ捻り上げる。
「ぐあっ…!」
「…腕は2本あるんだし、1本折れたって構わねーよな?死ぬ訳じゃねーし」
「ちょっ…リアンくん!」
彼の目は本気だ。
男はナイフを地面に落とし、苦痛に顔を歪めている。
「リアンくん、待って!それ以上は…!」
「…何?こんなヤツ許すの?」
「そ、それは…」
確かにその男のせいで私は怖い思いもしたし、リアンくんにだって怪我をさせてしまった。
でも…
「あとは警察に任せよ?リアンくんがそんな事する必要ない」
「………」
私の言葉を聞いて思い止まってくれたのか、彼は腕の力を抜く。
そしてポケットから何故か手錠を取り出した。
「な、なんでそんな物持ってるの?」
「ああ、コレ?本物じゃねーけど、役に立つかと思って持ってきた」
「………」
いや、答えになってないんですけど…
男を後ろ手に拘束したリアンくんは、そのまま彼を公園まで連れてきた。
夜も遅かったせいか、公園に人の気配は無い。
「…さてと」
そう呟いたリアンくんはどこかへ電話を掛ける。
警察だろうか…?
「もしもし、二階堂?俺だけど…」
(…二階堂?)
彼は警察へ連絡したのではないのだろうか?
それとも警察に『二階堂』という名前の知り合いがいるとか…?
「…ああ、後は頼んだ」
短い会話を終え、彼は電話を切った。
「リアンくん…今の電話、警察に連絡したの?」
「いや…俺、警察とかアテにしてねーし」
「え…?」
「コイツのした事なんて、どうせ大した罪には問われないだろ?刑務所から出てきて、またアンタに何かされたら困る」
「……、」
それは確かにそうだけど…
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