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*トライアングル*【R18】

第20章 ワンコの憂鬱





*side 皐月*


「ハァ…」

今日何度目かの溜め息。
桜子さんにセックスを拒まれてから1週間…
あの時本当は少しショックだった。
今まで理由も無く拒まれた事は一度も無かったから…
俺が何か気に障るような事をしてしまったのだろうか?
それとも…

(ひょっとして…俺よりリアンさんの方が良くなった…?)

そんな最悪な事まで考えてしまう。
店でも何となくよそよそしい気がするし、俺はこの1週間ずっとモヤモヤしていた。

(…気晴らしに外にでも出るか)

散歩でもして外の空気を吸えば、少しは気分も軽くなるかもしれない。
そう思い、俺は特に当てもなく近所をぶらつく事にした。





「っ…、桜子さん……?」

それから30分程歩き、何度か足を運んだ事のあるオープンカフェに着いた。
そこでひと休みしようとテラス席に視線を向けた瞬間…俺は信じられない光景を目にした。

(桜子さんが…男の人と…?)

テラス席にいたのは、彼女と見知らぬ男性。
楽しそうに…時折顔を赤くさせながら、その男性と話している桜子さん。
何を話しているのかまでは分からなかったが、2人がそれなりに親密な関係である事が窺える。

(もしかして…)

この間俺とのセックスを拒んだのは、その人が原因…?
もう…俺に愛想を尽かした……とか?
彼女にとって俺はもう必要の無い人間なのだろうか…?

眩暈にも似た感覚を覚える。
本当は2人の間に割って入り追及したかったが、そんな事出来るはずもなく俺はくるりと踵を返した。
今にも震えそうな拳をぎゅっと握りしめて…





「っ…、皐月くん!?」

それから俺は桜子さんとどうしても話がしたくて、あの後家に帰らず彼女のアパートを訪れその帰りを待っていた。
帰ってきた彼女は当然驚いていて…


「ど、どうしたの…急に」

「桜子さんと話がしたくて…」

「……、」

ただ事ではないと思ったのか、彼女は戸惑いながらも俺を部屋に入れてくれる。
きっと今の俺は、この世の終わりみたいな顔をしているに違いない。
実際そう思っているのだから…



「今お茶淹れるからちょっと待っ…」

そう言う彼女の腕を引き、俺は強引にその体を押し倒した。
何が起きたのか解らない彼女はひどく驚いている。



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