第19章 温泉旅行
「なぁ…部屋片付けてもらってる間……散歩に行かね?」
食事を終えるとリアンくんがそう提案してきた。
この旅館には広い庭園があり、夜は紅葉がライトアップされているらしい。
せっかくこんな素敵な所へ連れてきてもらったのだから、それは是非見ておきたい。
リアンくんはフロントへ電話し、食事の後片付けとさっき汚してしまったベッドシーツの交換をお願いしていた(恥ずかしい…)。
「うわぁ…、綺麗……」
誰もいない広い庭園。
大きな池の水面にはライトアップされた紅葉が反射して映っており、それも相俟ってより一層美しい景色を私たちに見せてくれる。
「…満足した?」
「うん、もちろん!」
紅葉狩りや花見をした事は何度もあったが、今まで経験した中でも一番感動した。
ずっと眺めていても飽きない程に…
「リアンくん…本当にありがとね。今日はリアンくんの誕生日なのに…何だか私がプレゼント貰ったみたい」
「…アンタはいつも大げさだな」
「そんな事ないよ。…あっ、そうだ!」
そう言えばまだちゃんと言っていなかった…彼にお祝いの言葉を。
「二十歳のお誕生日おめでとう。その…これからもよろしくね」
「……、」
私たちの関係は複雑なものだけど…
彼とこれから先も一緒にいたいという気持ちに偽りはない。
「アンタってマジで…」
「っ…」
独り言のように呟きながら彼は私を抱き締めた。
トクントクンと彼の心音が聞こえる。
それがとても愛おしくて私もその体を抱き締め返した…
「んっ…」
部屋に戻り、キスをしながら2人でベッドに雪崩れる。
夕方あんなに体を重ねたのに、私も彼もお互いを求め合っていた。
「なぁ…いつもと違う事していい?」
「…え…?」
私の浴衣の帯を解いた彼がそれを手に妖しい笑みを浮かべる。
100%悪い予感しかしなかったがそれは的中し、彼は持っていた帯を私の目元辺りに巻いてきた。
「ちょっ…」
「ほら…大人しくしろって」
「な、何するつもり…?」
「何って……こういう事に決まってんだろ?」
「きゃっ…!」
不意に耳を舐められ、油断していた私は思わず悲鳴を上げてしまう。
まさかこのまま…
「どう?いつもより感じるだろ?」
「……、」
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