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*トライアングル*【R18】

第19章 温泉旅行





緊張しているのか、微かに震える指でシャツのボタンを外していく彼女。
思えば、こうして彼女に服を脱がせてもらうのは初めてだ。


「…最後まで脱がせてよ」

「……、」

ボタンを外し終えた途端手を止める彼女にそう催促する。
彼女は恥ずかしそうに視線を逸らしながらシャツを脱がせてきた。
俺の裸だってもう見慣れているだろうに…

本当は下も脱がせてほしかったが、これ以上彼女を苛めるのも可哀想だったので俺は自分で下穿きを脱いだ(ついでに彼女の下着も取り去った)。


「…何だよそれ」

「だ、だって…」

バスタオルでしっかり前を隠している彼女。
これから一緒に風呂に入ろうというのにまだ抵抗する気か。


「知らねーの?温泉にタオル持ち込むのはマナー違反だって事」

「きゃっ…」

バスタオルを奪って放り投げ、その細い手を取りいよいよ風呂場へ入った。
互いに掛け湯をしてようやく風呂に浸かる…勿論彼女を膝の上に乗せて。


「温泉もたまにはいいかもな…」

彼女を背中から抱き締めながら、柄にもなくそう呟く。
花見や紅葉狩りなんて今まで興味は無かったが、こうして彼女と過ごせるならそれも悪くないかもしれない。


「…あの……リアンくん」

「…何?」

「…ありがとう……こんな素敵な所に連れてきてくれて…」

「………」

顔は見えないが、きっと彼女は照れながらそう言っているに違いない。
愛しさが込み上げ、抱き締める腕に力を込める。


「…アンタが来たいって言うならいつでも連れてきてやる」

「リアンくん…」

「つかさ…もっと色々俺にワガママ言えば?」

謙虚で遠慮深いところも彼女の長所だと思うが、たまには我儘を言ってほしい。
以前遊び半分で付き合った女たちと比べるのは気が引けたが、彼女はやはり今までの女たちとは違う。
物を強請ってきたり、俺の体を求めてきたり…
今まで関わった女はそんな人間ばかりだった。
まぁ…もし彼女が同じ事を言ってきても、今の俺なら喜んで期待に応えるだろうけれど。
『恋は盲目』とはよく言ったものだ。

彼女は少し俯いて俺の腕に触れてくる。


「いいの……私は十分ワガママ聞いてもらってるから…」

「………」

その言葉が何を意味するかは容易に理解出来た。
彼女の言うワガママとは…アイツ――皐月とも付き合っている事だろう。



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