第18章 Trick or treat!
「桜子さん…すごく可愛いです」
「あ、ありがとう…。皐月くんもよく似合ってるよ?」
彼の場合は、凶暴な狼というより頼もしいワンコという感じだけれど。
「つかそれ…スカート短過ぎじゃね?」
そう言ってきたのはリアンくん。
腕を組んでこちらを見下ろしてくる。
「やっぱりそうかな…?可南子ちゃんにはパーティなんだからこれくらいしなきゃって言われたんだけど…」
「ハァ……ったく、アイツろくな事言わねーよな」
「アイツって…」
可南子ちゃんは一応リアンくんより年上なんだけどね…
「とりあえず俺たちの傍から離れんなよ?アンタすぐ変なヤツに絡まれそうだし」
「だ、大丈夫だよ!2人こそ…女の子にいっぱい声掛けられるんじゃない?」
リアンくんも吸血鬼の衣装がよく似合っている。
ハーフだからというのも勿論あるが、元々綺麗な顔立ちをしているので尚更だ。
「…何?ヤキモチ?」
「べ、別にそういう訳じゃ…」
「安心しなよ。アンタ以外の女なんか興味ねーから」
「俺もです」
「……、」
(またそういう事をさらっと言う…)
私もこのくらい素直に気持ちを伝えられたらな…
「桜子さんも何か飲みませんか?俺、取ってきますよ」
「2人は何飲んでるの?」
「俺はジンジャーエールです」
「…俺はコーラ。けどアンタが酒飲むなら俺も…」
「ダメに決まってるでしょ」
もうすぐハタチになるとは言え、未成年は未成年だ。
ここは年上として私が目を光らせておかなくては。
「いいだろ別に…周りにバレる訳でもねーし」
「ダメったらダメ!」
「リアンさん…桜子さんを困らせないで下さい」
「…ったく、優等生ぶってんじゃねーよ。お前だって酒くらい飲んだ事あるだろ」
「…今は飲んでません」
「えっ!?」
皐月くん、"今は"って言った?
じゃあ前は飲んでたって事…?
(どうしよう…時々皐月くんのキャラが解らなくなる…)
何とかリアンくんを説得した私は、自分もジュースを飲む事にした。
元々お酒に強い方ではないし、酔って2人に迷惑を掛ける訳にもいかない。
それから少しすると本格的にイベントが始まり、場内にはノリの良い音楽が流れ始めた。
私たち以外の参加者は曲に合わせて各々踊っている。
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