第18章 Trick or treat!
「お、送ってくれてありがとう!おやすみなさい!」
「「あ……逃げた」」
タイミング良く(?)アパートに着いたところで、私は部屋までの階段を一気に駆け上がった。
もうこれ以上2人の会話を聞いているのは無理だ。
「ハァ…」
部屋に入り、閉めたドアに背を預ける。
まさか3人で顔を合わせるとは思っていなかったので本当に驚いた……というか胃が痛い(自業自得だけど)。
(私は…この先どうすればいいんだろう……)
正直、2人の優しさに甘えて最近は考えないようにしていた。
どちらか1人を選ばなきゃいけないという事を…
私はその答えを出す為に今は2人と付き合っているはずなのに、以前よりもっと2人の事を好きになってしまっている。
このままじゃ私…
「…ハァ……」
私はさっき以上に大きな溜め息をつき、ぼすんとベッドへダイブした…
「わぁ~、桜子さん超可愛い!」
「……、」
ハロウィーンパーティ当日。
私は可南子ちゃんと女性専用の控え室で衣装に着替えていた。
可南子ちゃんは可愛い魔女スタイル。
そして彼女が選んでくれた私の衣装は黒猫をモチーフにした物だった。
黒い猫耳カチューシャに尻尾…そして腕にはもこもこのアームカバー。
「ね、ねぇ…これちょっとスカート短過ぎないかな…?」
「何言ってるんですかぁ、パーティなんだからこれくらい大胆にならないと!それに桜子さんスタイルいいから、きっと男子の視線独り占めですよぉ」
「もぅ…褒めても何も出ないよ?」
可南子ちゃんとそんなやり取りをしつつ、いつもより少し濃いめのメイクをしてから控え室を出る。
(リアンくんたちも準備出来たかな…?)
「…あ……」
会場に入ると、そこにはすでに仮装を終えたリアンくんと皐月くんがドリンクを手にしていた。
リアンくんは吸血鬼、皐月くんは狼男の衣装を身に纏っている。
そんな2人に駆け寄っていく可南子ちゃん。
「おっ待たせー!」
「ハァ…別にアンタの事は待ってない」
「ひっどーい!てゆーか私の彼氏はぁ?」
「先輩に挨拶しにいくとか言ってどっか消えちまったぞ」
「えー…じゃあ私、彼氏探してくるね。桜子さん、また後で!」
「うん、行ってらっしゃい」
そう手を振って彼女の後ろ姿を見送った。
.