第16章 ゲームとお仕置き
飄々とそう言って退けるジョエルさんを睨む。
彼は一体どういうつもりで私をここへ連れてきたのだろう…
「…すっかり嫌われてしまったようですね」
そう苦笑いしながらも彼はあっと言う間に距離を縮め、伸ばした腕で私の腰を引き寄せてきた。
「貴女はもう少し警戒心を持った方がいい」
「っ…」
「もし私が乱暴な男だったらどうするつもりです?」
「……、」
「とは言え…貴女にはこれから少し怖い思いをさせてしまうかもしれませんが…」
「きゃっ…」
その言葉の意味を理解出来ずにいると、そのままベッドの上に押し倒され彼が馬乗りになってくる。
「な、にを…」
「…食事だけで帰してもらえると思いました?」
「っ…」
「こんな魅力的な女性を前に、手を出さない男の方がどうかしてますよ」
「ゃっ…」
首筋に顔を埋め、舌を這わせてくる彼。
お酒のせいか体に力が入らず、抵抗らしい抵抗も出来ない。
「…大人しくしていれば酷い事はしません」
「いやっ…、やめて下さい…!」
顎を軽く掴まれキスをされそうになったが、寸でのところで顔を背ける。
こんなの絶対に嫌だ…
「…そう簡単にキスはさせてくれませんか」
そう言ってキスを諦めた彼だが、今度は耳元に唇を寄せてきた。
「んっ…!」
「ふふ…感度もイイようですね。それとも…弟に開発されたんですか?」
「ちがっ…」
耳を舐められたり耳朶を甘噛みされたりする度反応してしまう自分の体が恨めしい。
私は必死になって彼の腕の中から抜け出そうともがく。
「そんなに暴れないで下さい…。いいんですか?貴女と弟の事を父にバラしても」
「っ…」
「今度はただの脅しではありません…私は本気ですよ?」
「なっ…」
「…どうします?大人しく私の言う事を聞きますか?」
「……、」
彼は本気なのだろうか…?
それとも私の反応を見て楽しんでいるだけ…?
どちらにしても私の答えはひとつしかない。
好きでもない相手に体を許す事なんて出来ない。
ジョエルさんの言いなりにまでなって私たちの関係を守ったって、リアンくんは絶対に喜ばないと思うから…
「私は…あなたの言いなりにはなりません」
「………」
「お父様に告げ口したいなら、して頂いて構いませんから…」
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