• テキストサイズ

*トライアングル*【R18】

第15章 金髪イケメンの正体





「…困りましたね」

ジョエルさんはその言葉通り、眉を下げて困ったように笑う。


「私はそんな悪者に思われているんですか?」

「だ、だって…」

「私の誘いを断ったら父に告げ口するなんて…私はそんな事ひと言も申し上げていませんが…」

「…え……」

「もし私が誤解を招くような発言をしていたのなら謝ります。申し訳ありませんでした」

「……、」

そうしおらしく謝ってくる彼。
それは彼の本心なのだろうか?
それとも私を油断させる為の演技…?

(わ、分からない…)

でも今はとりあえず彼の言葉を信じる事にしよう。


彼とそんなやり取りをしているうちに飲み物が運ばれてきた。


「さぁ…乾杯しましょうか」

そう促され、互いのグラスを軽く触れ合わせる。
ひと口飲んでみると、それはフルーティーで上品なとても飲みやすいジュースだった。


「美味しい…」

「良かった…それならお酒の苦手な桜子さんでも飲めるでしょう?」

「はい…ありがとうございます」

それからすぐに前菜が運ばれてくる。

(えーっと確か…フォークとナイフは端から使うんだよね…)

最低限のマナーしか知らない私。
そのぎこちない様子を見てか、ジョエルさんが気を遣うように声を掛けてきた。


「どうぞ、お気になさらず召し上がって下さい」

「で、でも…」

ジョエルさんは恥ずかしくないのだろうか…
一緒に食事をする相手がマナーを知らないなんて…


「マナーも勿論大切ですが…食事は楽しく美味しく召し上がるのが一番ですからね」

「……、」

そんな風に言ってくれるなんて正直意外だった。
もっと呆れられるかと思ったのに…

彼は私が思っている程悪い人じゃないのかもしれない。

(まだ油断は出来ないけど…)


それからしばらくジョエルさんと他愛の無い話をしながら食事を続けた。
初めは緊張していた私も、美味しい料理と彼の巧みな話術のお陰で徐々にリラックスしてきて…


「…私はずっと弟が羨ましかったのかもしれません」

「…え?」

ふとそう呟いたジョエルさん。
彼は私から視線を外し、窓の外の夜景に顔を向ける。


「弟と私が異母兄弟というのはご存知ですよね?」

「はい…」

「家の正統な血を受け継いでいるのは私ですが…父は、本当は弟の方を愛していたんだと思います」



.
/ 248ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp