第15章 金髪イケメンの正体
物腰の柔らかい態度とは反対に、その言葉には有無を言わせない迫力がある。
(それって…脅迫…?)
彼の誘いを受けなければ、私とリアンくんの関係を彼のお父さんにバラすって事…だよね。
(でも何の為に…)
彼は私とリアンくんの仲を引き裂きたいのだろうか…?
それともお父さんに頼まれて…?
以前リアンくんが言っていた。
世間体に厳しい彼のお父さんは、リアンくんの相手にはそれ相応の人物でなければ許さないと…
リアンくんが『心に決めた人がいる』と明かした後、お父さんはそれが誰なのか探ろうとしていたようだし…
「そんなに深刻な顔をしないで下さい。ただお食事に付き合って下さればそれで構いませんから」
「………」
彼の真意は分からない。
でもここで彼の誘いを断れば、私とリアンくんはもう二度と会わせてもらえなくなるかもしれない…
悩んだ末、私は「わかりました」と彼に返事をした…
("ジョエル・スペンサー"…)
その夜…
ベッドの上で、昼間彼に貰った名刺を眺める。
そこには彼の名前と役職が書いてあって。
(代表取締役……って、社長の事だよね)
そう言えば…リアンくんのお父さんは今海外にいると言っていた。
日本での事は会社も含め、全てお兄さんに任せると。
例えそうだとしても、あの若さで社長を任せられるなんてきっと凄い人なのだろう。
「ハァ…憂鬱だな…」
ジョエルさんとは次の休日に会う事になっている。
本当はリアンくんに相談すべきなのかもしれないが、彼に話せばきっと…いや、絶対に止められるだろう。
そうしたら私たちの関係をバラされて…
(…やっぱりダメだ)
リアンくんには話せない…私1人で何とか解決しないと。
そもそもまだジョエルさんの真意も分かっていないのだ…まずはそれを突き止めるところから始めよう。
「…よし」
妙なやる気を出した私は、次の休日に向け気合いを入れるのだった…
「お待たせしました」
「……、」
ジョエルさんと約束をしていた当日…
休日にも関わらず仕事があると言っていた彼は、待ち合わせ時間だった17時少し前に姿を現した。
車に然程詳しくない私でも分かるくらいの、超高級車に乗って。
助手席のドアを開けてくれた彼に促され、「失礼します」と言って車に乗り込む。
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