第11章 お家デート
「…どうしたの?今日はずいぶん甘えてくるね」
「たまにはアンタを年上ぶらせてやんないとな」
「…何よそれ」
そう言いながら、むにっとリアンくんの鼻を摘まむ。
その手を掴まれ、チュッと指先にキスをされた。
「いいから…早く頭撫でろよ」
「…もぅ」
それから彼は30分程、本当に気持ち良さそうに眠ってしまった。
話し相手のいなくなった私だったが、こうして彼の寝顔を見ているのは飽きない。
(美人は3日で飽きるなんて…絶対嘘だよね)
「ちょ、ちょっと…リアンくん、危ないから」
今私はキッチンにいる。
目を覚ました彼が開口一番「なんか飯作って」と言ってきたので、お昼ご飯を作ろうと思ったのだが…
そんな私を背後から抱き締めてくる彼。
「俺の事は気にしなくていいから」
「気にするよ!」
「なんで」
「なんでって…」
「…ドキドキして作れない?」
「っ…」
耳元で囁かれた言葉にドキリと心臓が跳ねる。
彼の言う通りだったが、それを認めるのは何だか悔しくて…
「べ、別にそういう訳じゃ…」
「じゃあこのままでも良くね?」
「んっ…」
今度はチュッと耳にキスをしてくる。
「…相変わらず敏感だな」と、彼は私の耳元でクスクス笑った。
「も、もぅ!これじゃホントにご飯作れないでしょ!」
「…俺は別にいいけどな」
「…え?」
「…飯の代わりにアンタ食っても」
「っ…」
「…冗談だよ」
そう言ってようやく私の体を放してくれる彼。
意外にもあっさり解放してくれた。
(このまま続きされちゃうかと思った…)
…って。
私は何を考えているのだろう。
キッチンから出ていく彼の背中を見つめながら、私は1人顔を赤らめた…
「…なんか映画でも観る?」
昼食を済ませた後、不意にリアンくんがそう声を掛けてきた。
近頃映画館には行っていないし、彼と映画鑑賞するのもいいかもしれない。
好きなDVDを選んでいいと言われ、綺麗に陳列された棚の前に立つ。
そこにはちゃんと『あ行』からびっしりとDVDが並べられており、きっと二階堂さんが整理しているんだろうなと心の中で思った。
(あ…)
その中で目に入ったタイトル。
去年映画館へ観に行けず、DVDが出るまで我慢しようと思っていた作品だ。
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