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【黒子のバスケ】星降る夜に

第7章 GW合宿


私のGWは一日中家で寝て起きて本を読む。予定だった。

「なんで今ここに居るんだろう…」

気が付くとバスケ部のGW合宿に駆り出されていた。
人手が足りないからってリコに引きずられてきたわけだ。

「いいじゃんいいじゃん!学生っぽくて!」
「そうかも知れないけど……」
「大丈夫、春香のことはアタシが守るよ」
「……ん。気遣わせてごめん、飛鳥」

合宿所は海の見える大きな旅館だ。今は近くの体育館で練習中である。

「なーに意味深な会話してんのよアンタら」
「昔っからこういうの来ると高確率で春香は襲われかけるからさ。
だから常に一緒にアタシが居て守ってやんなくちゃ」
「飛鳥は武道に関しては達人だよ」
「へぇ、そうだったの。やけに筋肉ついてるなと思ったらそういうこと」
「いやんいつ見たのリコのえっちー」

2人がキャーキャー騒いでるのを尻目にバスケ部の練習を見る。
少しだけ羨ましいと思ったこともある。
自分が男であればあぁやって運動部に属していたら。
男であればこうして男に襲われる心配だってしなくても済むのだろう。
とにかく私は気を付けなくてはいけない。

「春香?」
「はいっ!?…た、たつや、びっくりした。ドリンク?」
「違う。怖い顔してたからつい」
「そんなことないわよ。考え事してただけ、ついでにほら。汗だくよ」

タオルを押し付けた。
そんなに気付かれるほど怖い顔をしていたのだろうか。
コートの中にいる選手に気付かれるほど自分は暗かったのだろうか。

「あぁ、うん、ありがとう。…春香」
「何かしら」

自分より背の高い彼を見上げるとそっと前髪を分けて額にキスを落とされる。

「…ん、元気出るようにおまじない」

なんでもないようにそのまま笑顔を浮かべて練習に戻ってしまう。
コートに戻ってからやけにからかわれていた。

「春香、顔真っ赤よ?」
「し、知ってる、もういい。ドリンク作って来る」
「さっすが王子だねぇ……」

飛鳥とリコのからかうような声を後ろに体育館を出た。
『元気出るようにおまじない』
その言葉が脳内で反芻する。あぁ、ずるい。
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