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【黒子のバスケ】星降る夜に

第2章 大学1年 春


少し驚いた顔をすると、先生は入部届と一緒に部活一覧表を出して見せてくれた。

「えーっと………あぁ、天文部があるな」
「じゃあ天文部に入部します。顧問は誰ですか」
「顧問は…居ないけれど部活の名前として残ってるから活動して問題ない」
「そうですか、分かりました。部室はどこでしょうか」
「えーっと…部室棟7-5-10…第7部室棟の…5階…ってことは最上階の10だから右奥だね」
「ありがとうございます」

その場で入部届を書いて提出すると一度先生は私を引き留めた。

「本当にいいのか、えーっと…」
「日向です。いいんです、受け取ってください」
「…そうか。何かあったら先生のこと頼っていいからな!」

頼り甲斐のなさそうな先生だが。

「分かりました、ありがとうございます。失礼します」

一応は笑顔でそう言うことにして私はその場を去った。
えぇと、第7部室棟、5階の右奥。
本校舎であるここから一番遠いのか。
…一つ深い溜息を吐いて地図を見ながら歩き出す。
本校舎から第7部室棟までの距離は徒歩20分程度…だろう。
そう予測していつも通りにイヤホンをしてお気に入りの曲を流して歩き始めるんだった。

「…桜、かぁ」

まだ咲ききってはいないが見事なものだ。
部室棟までの桜並木を一人ゆっくり歩く。
道にはたくさんの生徒がいて何人かがこちらを見つめているのも分かった。
自分の容姿には高校時代に嫌というほど認識をした。
そう、私はそれなりに可愛い部類に入る。

(じろじろ見るなっつーの)

人の視線は苦手だ。気持ち悪くなる。
体中にヘドロでも塗られているような気分になったところで気にするのをやめ、音楽と周囲の景色だけに集中することにした。

「エレベーターぐらい直しておきなさいよ…!」

部室棟に入って辺りを見回したところでエレベーターを見つけたまではいい。
ただ、入口には"故障中"の張り紙があった。
めんどくさいが仕方ないので5階まで階段を使うことにした。
が、そこで気付く。部室の鍵というのは普通閉まっているのではないかと。
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