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【黒子のバスケ】星降る夜に

第6章 天文部


差し出されたデザインはまだ仮のものらしい。
テーマに沿ってやるらしい。

「今年はトリがウェディングドレスなんだよ」
「…予定が無いのに着ると婚期が遅くなるって言うわよね」
「それまでに予定っつーか彼氏作れば?」
「そう簡単に…まぁ出来ないこともないけど…」

出来なくはない。別に作ろうと思えば作れる。
だがめんどくさいし男と付き合う気が無い。

「春香、遅くなってごめ…あれ、お邪魔だった?」
「やっほー氷室王子」
「気にしてないわよ、別に。あ、お砂糖いる?」

お湯を沸かしている間に辰也の分のケーキも切り分ける。
そう言えば3人で一緒にいるのは初めてかも知れない。

「うん、2つ」
「あら、飛鳥と一緒ね」
「王子も甘党…って待ってその手のケーキの箱は!!ちょっと!!」
「あぁ、これ?前に玲央が美味しいって言ってたから買ってきたんだ。一緒に食べようと思って」

飛鳥の持ってきたケーキの箱と一緒だった。
どうやら2人はどこか似た部分があるのかもしれない。
紅茶に角砂糖を2つ入れて差し出す。

「なーかーみーはっ!!」
「イチゴのタルト。余分に1つ多く買ってきて良かった」
「あら美味しそう。宝石みたいね」

しかし豪勢なお茶会となってしまったなとも思う。
まぁいい。タルトは好きだし。

「いただきます。…ん、おいしい…!!」
「春香はほんっと分かりやすいよねー」
「うるさい」
「はいはい。んじゃいただきまーす」

私と飛鳥が一緒にケーキに夢中になっている横で辰也は飛鳥の持ってきたデザインを見ていた。

「これ、学祭の?」
「そ。今年は春香にモデル頼んでるの」
「仕方ないからやるだけよ」
「あ、そうだ。ねぇねぇ氷室君、他のとこから声かかってる?」
「玲央から誘われてるけど…」
「ちょうどいい!一番最後ウェディングドレスだから春香の相手役やってくんない?あたし玲央ちゃんと同じチームだし」

一瞬で頭の中を沢山の文句が駆け巡った。
でもそれは目の前の甘いケーキの前じゃ無力で私はまたタルトを一口頬張る。

「え、俺でいいの?」
「もっちろん。それに春香も知ってる相手のがいいっしょ?」
「そりゃ知らない奴よか知ってる奴の方がいいわよ」
「ならお受けしようかな」
「よっし!」

飛鳥がホッとしたような笑顔を浮かべた。
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