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【黒子のバスケ】星降る夜に

第5章 春休み


通されたのは自室だった。確かこの部屋は一度だけ入ったな。
風邪の時に死んでた部屋か。

「…沢山、楽譜あるのね」
「課題でね。作曲してるやつ」
「へぇ…その割には静かだけど」

そう言えば部屋に居るのにあまり音が聞こえたことはない。
防音というわけでもないはずだ。

「基本的には学校で済ませてるからね。それかパソコン使ってヘッドホンしちゃえばいいし」
「あぁ、そういうこと。…辰也はほんと、頑張り屋さんね」

本棚に目を移すとこちらは作者でまとめられていた。
一冊一冊が丁寧に扱われている。…星の話が好きというのは本当だったようだ。星座の本も沢山ある。
ミステリーや時代物。案外節操なしになんでも読むらしい。
この辺は私も人のことは言えないが。

「あら、クラシックばっかりかと思えばロックも多いのね」

ふとCDラックの方に目を移すと上にクラシック、下に洋楽やら邦楽やら。こっちの方はロックがメインらしい。

「春香は音楽って何聞くの?」
「アイドルとかロック。たまにV系ね」
「へぇ、アイドルも聞くんだ。意外だ」
「そう?案外何でも好きで聞くわよ」

そこで不意にケータイの着信が鳴った。
自分かと思ったがどうやら辰也だったらしい。
少し出てくる、と部屋を出て行ってしまった。

「…綺麗な字ね、ほんと」

思わず机の上の五線譜を見てしまう。
音楽に詳しいわけじゃないから意味はほとんど分からない。
でも彼が努力家だというのは知っている。
バスケだっていつも遅くまで残って練習している。
その上音楽科は課題だって多く出ると聞いた。
そんな中で結果と成績を出してるんだからそれは凄いと思う。

「何か気になるものでもあった?」
「!いえ、別に。電話はもういいの?」
「うん。シュウたちが昼からバスケするっていうからその誘いだっただけ」
「そう…じゃあ私はそろそろ部屋に戻ろうかしら。洗濯とかしちゃいたいし」
「そっか。また遊びに来てよ」
「えぇ、そうさせてもらうわ」

隣の部屋を出て、自分の部屋へ。
初めて入った男の人の部屋は案外綺麗だったなと思う。
いや、まぁ…片付けたと言ったから当然なんだろうけど。
今度行くときは手土産に何かお菓子でも作っていこう。
そう思いながら私は本棚から新しい本を取り出して読書に没頭することにしたんだった。
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