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【黒子のバスケ】星降る夜に

第5章 春休み


「春香さん、」

そう名前を呼ばれてハッとなる。

「流石にそろそろ帰った方がいいんじゃないかな」
「…そういうのはあと2時間早く言ってちょうだい」

思わず本に夢中になってしまっていた。
時刻は午後8時。いつもは暗くて字が読めなくなったことで気付くが今日は辰也が電気をつけてくれたらしい。
いつも通り部室の鍵を閉めて一階へ行くと電気が全くついていないことに気付く。

「…ねぇ、辰也」
「…部室棟は外鍵しかないよ」
「そう言えば部活無いって言ってたわね…」

すっかり失念していた。部室棟に人が居るとばかり思っていた。
外から鍵をかけられてしまった。つまり、閉じ込められた。

「どうする?」
「替えのタオルはあるわよね。シャンプーとかは」
「一応備え付けのがあるかな」

管理室には鍵が無いからそこから勝手に借りることにした。
部室棟には医務室がある。
そこに簡易ベッドが2つはあったはずだ。
それとシャワールーム。
シャワールームは個室になっているし出る時のタイミングも音で分かるから問題ないだろう。

「先に入って」
「え?…あ、あぁ、そっか。ごめんね」
「いいわよ別に。後ろ向いてるし」

ただ問題は着替えのスペースは全部一緒だというところだ。
先に入った音を確認して自分もシャワールームへと移動した。
初めて使ったが案外綺麗だ。それにシャンプーもあるならありがたい。夏場はこれから積極的に使わせてもらうとしよう。

「春香さん、先に出るから」

その声が聞こえて「はーい」と返事をしておく。
そう言えば。自分は呼び捨てにするけど相手にはするなと言った気がする。
なんだかそれはそれでおかしいなと気付いた。
あとで出てから言ってみよう。
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