第4章 大学2年次 春
部屋に帰ってシャワーを浴びてベッドに横になってからも彼の声が頭から離れない。
「何なのよもう…」
顔の熱が冷めない。取れない。
一体どんな顔をして会えばいいんだと頭を巡らせる。
「…腹黒王子」
別に他意がないことは分かってる。
そうだとしてもあんな言い方は卑怯だ。
どうしてくれるんだろう。コンプレックスだったこの髪が、今は少し好きだ。
鉄の錆びた様な色。そう思ってたのに。
言葉一つで印象と言うのは変わるものだなと感心すらしてしまう。
「…ねむ」
そう言えば今日は人混みにいたんだっけ。
体力的にはもちろん、案外精神的にも疲れているようだ。
そんなことを考えながら目を閉じると案外簡単に眠ることが出来たんだった。