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【黒子のバスケ】星降る夜に

第4章 大学2年次 春


少しだけ沈黙が流れる。

「私、そう言う妙な彼氏面は嫌いなの」

先に沈黙を破ったのは私だった。
別にはっきりものを言っても問題ない相手だろう。
少なくとも日常会話はする仲だ。

「下心丸出しでそう言うこと色んな人に言われてきてんの。
だからそう言う注意は嫌い。受け入れはするし頭の片隅にもおいとくけど。それでも嫌い」

見てんのは顔と体だけ。
そんな男共に同じことを言われ続けてきた。
本当に心配してくれてるんだろうけども嫌なものは嫌だ。

「なんか、春香さんって案外素直だよね」
「はぁ?!」
「猫っぽく見せた犬っていうか」
「急に何言ってんのか意味分かんないんだけど」
「すぐ顔に出るなぁって」
「その自覚はある」

っつーかコイツ。人の話を聞いていたのか。聞いていてこれなのか。一体何なんだ。

「そういうところが俺は可愛いと思うよ」
「な、に言ってんの意味分かんない!!」

程なくして寮の前につく。
流石に外じゃないし大きな声を出すのも迷惑だし声が小さくなる。

「クルクル表情が変わってみてて飽きないし、嬉しいの隠そうとして隠しきれてないのも可愛い。
あとは友達と居る時が一番楽しそうだ。玲央と居る時も」
「…、案外人のこと見てんのね」

これには普通に驚いた。私が飛鳥と居る時間は大学に入ってから高校時代に比べると随分減ったものだ。
一緒にいるのなんて部活に行く前とか講義の空き時間ぐらい。

「春香さんだから気になる。…ほら、真っ赤だ」
「分かってるわよ一々口にしなくていい黙って」

流石王子だ。王子と呼ばれるのもうなずける。
ただ今私の目の前に居るのは王子だろうが"腹黒"とつく。
腹黒王子だ。いつも笑顔で何考えてるか分かんないポーカーフェイス。その上に今日はスーツときたものだ。

「それじゃ、春香さんまたね」
「ん。また」
「あ、そうだ」
「何よ」

真っ赤な顔をこれ以上見られるのは屈辱極まりない。
こんな真っ赤になった顔を見せたのは多分初めてだ。

「その髪、コンプレックスだって聞いたけど俺はキャラメルみたいに甘そうで食べたいぐらい好きだよ」

そうニッコリ笑っておやすみと声をかけると彼は自分の部屋に入ってしまった。
私はと言えば少しの間だけその場に立ち尽くしていたんだった。
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