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【黒子のバスケ】星降る夜に

第4章 大学2年次 春


「ここじゃなかなか綺麗に見えないものね」

実家はここよりは綺麗に見えていたと思う。
ここは人工の光が強過ぎる。

「氷室君は帰国子女なんだっけ」
「うん、アメリカからね」
「そう。アメリカとここじゃどっちのが綺麗に見える?」
「うーん…どっちも似た感じだけど……春香さんがいるからこっちかな」

こいつ。

そういうことを聞きたいんじゃない。
というかこいつ、本当にそんなこと言うのか。
氷室辰也と言う人は本当に王子様みたいな人間だ。

「あ、アツシ」
「?あー室ちんだー久し振りー」
「高校の後輩、紫原敦。アツシ、こっちは日向 春香さん」
「どうも」
「へー。……カノジョ?」
「違います」

デカい。2mぐらいだろうか。実習道具と思わず脳内で比べてしまう。
しかしなんか、こう、全体的にゆるい雰囲気の子だ。

「即答しなくても」
「氷室君のファンが怖いから彼女とか無理」
「あらら~振られちゃったね~」
「ところでその手に持ってるケーキなんだけど」
「食べる?」
「うん」

ごく普通にフォークに一口分差し出される。
差し出されたケーキを食べるとイチゴの酸味と生クリームの甘みが程よく絡み合っていて…あぁ、とにかく。美味しい。

「あー、なるほど。俺、アンタのことわりと嫌いじゃないよ」
「あらそれは光栄ね」
「うん。小っちゃくて可愛いしね」
「君から見たらほとんどの人は小さいでしょうに。…さて、私はそろそろ帰ろうかしら。お腹いっぱいになったし」

元々ただ飯を食べに来ただけだし。
久々にごちそうと言うものを味わった気がする。

「はい、上着ありがとう。お返しするわ」
「いいよ、着て……待って、1人で帰るの?」
「一緒に帰る相手も居ないしそりゃね」

目の前の王子様は大きなため息を吐くと私の頭を小突いた。

「俺も一緒に帰るよ、春香さん」

待ってくれ王子様。
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