第4章 大学2年次 春
久し振りの学校…の方はめんどくさくてサボり、
足をそのまま部室棟へ向けると虹村先輩がいた。
「こんにちわー」
「おー、日向。サボりか」
「先輩こそ」
「めんどくせーしな。……なぁ、日向」
「はい、なんですか」
一緒に鍵を取りに行ってサボりついでに虹村先輩と同じく体育館の方へ行く。
「お前さ、ずっと思ってたけどなんで先輩ってつけてんの?」
「え?」
いやだって先輩に先輩と付けるのは当たり前だろう。
「…あー、いや、あのさぁ…俺、1年」
「………はぁ?!」
「つっても高校から持ち上がり組だけどな」
「は、はぁ…えぇ……年上だと思ってた…」
お恥ずかしいことに1年は勘違いしていた。
だってなんか、こう…頼りがいがあったりして。
優しいし、いい人だし一緒に居て気楽だし。
「何、告白?」
「いや、思ったことだけど。虹村君のことは好きだけど恋人にしたいと思ったことはないね」
「そこまでハッキリ言われるといっそ清々しい」
「うん。思わせ振りな態度取るのは控えようと思って」
「控えるって」
「控える、だよ。私にその気がなくても勝手に好意抱いてたり自分のこと好きだとか思ってるバスケ部の人は多いんじゃないかな」
「だって私可愛いもん」
それは自信過剰と言われたらそれで終わりの一言だけど。
事実、私は可愛い方の部類に入る。
そのことをはっきり口に出したって嫌味にならない程度に。
「あ、そうだ。卒業式の日、部活でパーティーするけど来るか?」
「え、いいよいいよ。それ部員だけでやるもんじゃないの?」
「卒業祝い兼入部祝いになんだよ」
「…なんで入部?」
卒業祝いなのは分かるけど入部にはまだまだ早い様な気がする。
卒業式が終わったらすぐに春休みだし。
「あぁ、部活は春休みから来るやつ多いんだよ」
「え、そうなの?」
「そ。んで、今年は一個下のキセキの世代がウチに入ってくるらしいからな」
「何そのダッサい称号」
それを言うと虹村君はどうやら笑いを堪え切れなかったらしくゆうに10分は笑っていた。