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【黒子のバスケ】星降る夜に

第3章 大学1年 冬


その言葉はごく普通にただ思ったことを言っただけなんだけど。
目の前の彼は凄く驚いた顔をしていた。

「日向さんってリアリストだと思ってた」
「それで概ね間違ってないわよ」
「うん…だから、さ。王子様、って単語が似合わないと思って」
「…似合わない、ねぇ」

それも確かにそうだ。言われてみて納得する。
だからこそ、少し自嘲せずにはいられなかった。

「起こしてくれたお礼に私の秘密を一つだけ教えてあげる。
私、日向 春香は小さい頃から王子様には並々ならぬ憧れを持っているのよ」

多分、これを言ったのは2人目。
1人目は無論飛鳥。それは高校2年の頃。
あの時彼女は意外だと言った。でもその後に、でも似合う、なんて言って笑った。

「へぇ…じゃあ、俺とかは?」
「冗談だとしてもごめんだわ。何考えてるか分かんない男は勘弁願いたいわね。それにあんたの取り巻きって怖そうだもの」

私が立ち上がったことでこの話は終わりとなった。
彼と私のこの生活も今日で終わりだろう。
これで私と彼が関わることももう無くなる。
それは少しホッとするものがあった。

「って言うかアンタ、自分の部屋片付けたら?」
「片付け苦手なんだよ。整理整頓も」
「駄目な男ね」
「返す言葉もないなぁ」

初日に見たあの部屋の惨状を思い出す。
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