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【黒子のバスケ】星降る夜に

第3章 大学1年 冬



黒い髪に少し赤く染まった白い肌。
少し困ったように下げられた眉と潤んだ瞳。
艶っぽい声に反して甘えた一言。

「殺す気か」

死ぬかと思った。
普段の彼のことを私は良く知っているわけではないけれど、
少なくとも部活中の時ぐらいは見ている。
放課後だっていつも遅くまで残って練習している。
落ち着け。深呼吸を一つして、救急箱の中から体温計を取り出し自分の部屋に戻る。

「はい、体温計。…私も鬼じゃないから風邪引いてる間ぐらいなら面倒見るから」
「ありが…え、いや、そこまでお世話になるわけには、」
「部屋に戻して悪化したら大変でしょ、隣同士なんだしもうちょっと助け合ってもいいんじゃないの」

あの部屋に戻したら確実に悪化する。

「あ、着替えとかは。私、今日あと講義無いからずっと部屋にいるしなんかあったら言ってよ」
「…うん。着替えは別に平気。でも、少しだけ手を握っててよ」
「そういうのは熱が測り終わってから口にしなさい」

これは計算なのか天然なのか。
いっそ飛鳥みたいに分かりやすければいいのに。
程なくしてピピピ…と音がして体温計を渡される。

「"38.4"…まだ高いか。ほら、さっさと寝なさい。寝るまでは側にいるから」
「寝てからは?」
「出来る限りと言ったところ」

あぁ、こいつ殆ど計算だ。
ずっと計算で男と付き合ってきた頭の緩い馬鹿が親友で良かったと思う。
そうじゃなかったら多分コロッと騙されてた。
言っちゃなんだけど顔がまず好みだし。

「ねぇ、日向さんって星、好きなの?」
「好きじゃなかったら天文部に入らない」

当たり障りのない返答だ。
思えばまともに話したのは入学以来かもしれない。
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