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【黒子のバスケ】星降る夜に

第3章 大学1年 冬


部屋に運んでから実渕君に一応連絡しといてベッドで眠る氷室君を見た。

「ごめんね、伊月君。急に頼んじゃって。このあと講義じゃない?」
「平気平気、一限ぐらいすっぽかしても問題ないよ」
「うーん、伊月君が平気ならいいけど…でも、ありがとう。
私1人じゃどうにもできなかったから」
「いいの、いつも差し入れとかもって来てくれるしお互い様だって。
んじゃ、俺二限には出たいしこれで失礼するな」
「うん。またね、伊月君」

爽やかな笑顔を残して出て行った彼は同じ寮の伊月 俊。
ダジャレが好きで黙ってればイケメン。黙ってれば。
私とこうして話してくれてることから察していただきたい、バスケ部である。

「さて…」

自分のベッドでぐっすり眠る氷室君を見てどうしたものかと考える。
自分が風邪の時に作ってもらったのはなんだっけ、普通のお粥じゃなかった。
一度自分の部屋を出てキッチンに立ちながら電話をかけることにした。

「…あ、もしもしりっちゃん?私。あのさ、卵味噌の作り方、教えてくれない?」

りっちゃん、律子はお母さんの妹。私の育ての親である。
母親はいつも仕事でいなかったので私はいつもおばさんのところに預けられて育った。
なんで、風邪の時はいつだっておばさんの卵味噌。
ざっと材料を確認すると家にあるもので出来そうだったのでそのままスマホをスピーカーにしていざ調理。

「…ん、美味しい。りっちゃんありがとー」

そう、この味。素朴だけど温かい。
自分も食べたくて少し多いくらいになってしまった。
一度様子見とスポドリを渡しに自分の部屋に戻るとまだぐっすり眠っていた。
若干うなされているようだけど…下手に解熱剤を飲ませ無い方がいいんだよなぁ、治りが遅くなるし。
そもそも私は風邪引かないから我が家に風邪薬なんてない。

「ん……あれ…」
「あ、おはよう…ゆっくりでいいよ。はい、スポドリ。喉乾いたでしょ」
「ありがとう…」
「お粥作ったけど食欲ある?まぁなくても食わせるんだけど。ちょっと温めてくるから待ってて」

熱に浮かされても美形は美形か。
そんな風にどこか失礼なようなことを考えながら自分の分もついでに温めて部屋に持っていくと、随分そわそわしていた。

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