第12章 逆ハ?なにそれハムのお仲間おいしいの?(黒尾誕生日★番外編)
「やっくん、身長伸びてない?」
「そりゃ伸びるだろ、成長期に縮んでどうするんだよ」
「お前、今ごろ気づいたのか?少し前から夜久の身長ついに160超えしたんだぜ」
そ、そんな馬鹿なっ……。
やっくんはいつまでも可愛いやっくんのままだと思ってたのに、ミニマム仲間だと信じていたのに。
あまりのショックに涙腺がゆるんで涙が出た。
それはもう漫画のようにぼろぼろと目から溢れこぼれ落ちた。
「うぉっ、どうしたニャンニャン!?」
「わぁあ、ニャンニャンっ!?」
「う……うぅ……やっく……やっく、ん、がっ……!」
「おっまえ、なんかしたのか夜久ぅ!」
「してねぇよっ、黒尾も見てただろ!」
勝手に悪者にされたやっくんには悪いけど弁解しないまま、黒尾くんのそばへ行くとお腹にぽすんと頭を埋めて服をぎゅっと掴む。
「どうしたんだよ?ほらニャーちゃん、泣きやめって。メイク落ちてかわいい顔が酷ぇことになるぞ」
それは困る。
わたしのアイメイクはがっつりだからパンダどころではない、暗闇じゃなくてもホラーだ。
「ごめん、俺なんかした……んだよなきっと!悪かった、頼むから泣かないでくれっ、なんでもするから」
なんですと?
とても魅力的な言葉にあっさりつられてやっくんを振り返った。
「ほんと?やっくん、なんでもしてくれるの?」
「おう、もちろん。男に二言はねぇよ」
少しかがんで目線を合わせてくれたやっくんがニカッと笑う。
「よかったなニャンニャン」
頭の上から声が振ってきて黒尾くんを見上げる。
にへっと笑えば黒尾くんは肩を揺らして笑いながら、わたしの顔を軽くこすった指を見せた。
「おまっ……すげー顔だぞ、ぶふっ……早くその黒いの、落として、こい……っくく!」
「やっくんなんでもするって言ったよね?とりあえず黒尾くん床に沈めといて」
「任せとけ」
黒尾くん、地獄へおちろ。
笑いがおさまらない黒尾くんの始末はやっくんに任せ、洗面所へメイク落としと顔を洗いに行くことにした。