第12章 逆ハ?なにそれハムのお仲間おいしいの?(黒尾誕生日★番外編)
「おおお唐揚げがたくさんっ、骨付きでまるっとしてておいしそうじゅるり」
「今日のは手羽先で作ったフライドチキンのチューリップなんだとさ」
「へぇ、掴みやすいよう骨の先に紙が巻いてあるし、可愛くリボンまでついてら……凝ってんなぁ」
「チキンのチューリップ!発想が素晴らしいね、お母さんが作ったの?」
ああ、なんておいしそうなチューリップ。
添えてあるブロッコリーの緑が映えてまるでお花畑のようだ……週1で通いたい。
「ああ、なんか今“妖怪●パートの幽雅な日常”って本に出てくる料理にハマッてるらしくて、変わったもんばっか作ってる」
「あ、それマンガの方なら前に本屋で見かけたことあるぜ。なかなか人気あるみたいだった」
「へー、こんなにおいしそうな料理が出てくるなら今度読んでみようかな。それでやっくん、あとの二段はなに?」
催促して見せてもらった二段目と三段目には、厚焼き玉子とカップ入りミニグラタンと豚肉の昆布巻きとチーズ挟み魚フライのタルタル和えにやっくんの好きな野菜炒め……ところどころにプチトマトやアスパラなどの野菜が添えてある。
もちろん別容器入りのディップソース付き。
「これ全部手作り?……わたし本気でやっくん家に婿入りしようかな」
「嫁の間違いだろ」
「夜久、問題はそこじゃねえ。ニャンニャンは食い物につられすぎ……さては腹減ってんだろ」
黒尾くんに言われてお腹をさする。
…たしかに、目の前で見せられた食べ物たちのおかげで食欲がもう抑えられそうもない。
「……ごくり」
思わず音が鳴るほどヨダレを飲み込んでしまう。
「少し早いけど、飯にするか!」
「だな、食おうぜ」
やっくんと黒尾くんがおかしそうにニヤッとしながらそう言って、わたしはその場で飛び跳ねた。
「いやったあ!」
みんなでリビングにあるローテーブルの上いっぱいに料理と飲み物を置いて、カーペットの敷かれた床にそれぞれ座る。
上座とかわからないから黒尾くんを真ん中にしようと思ったら、何故か拒否されてわたしが二人の間になった。
「それじゃあ黒尾くん、明日お誕生日おめでとう!」
「おめでとう!やっと黒尾も17歳だな」
「どうも、ありがとな。」